「入院の連帯保証人がいない・・・」ということでお困りでしょうか?
私たちが普段かかっている病院に何らかの理由で入院することになった時、必ずと言って良いほど必要なのが連帯保証人という存在です。
入院に当たって記入する申し込みの書類には、連帯保証人の記入欄を設けている病院がほとんどです。
しかし、中には連帯保証人になってくれそうな人が周りにいない方もいらっしゃるのではないでしょうか?
今回は入院の連帯保証人がいない時の対策について、私が実際に対応したケースからの気づきを踏まえつつ解説していきます。
目次
入院の連帯保証人が必要なワケ
病院に入院することになった時、必ず記入しなければならないのが入院の申込書です。
住所・氏名・連絡先といった身元を証明する情報はもちろんのこと、過去の病歴や生活習慣などの記入を求める病院もあります。
これらは入院後の治療に役立てるために、病院として把握をしておきたい情報になります。
その中で、ほぼすべての病院で記入を求められるのが入院時の連帯保証人を決めるというものです。
たとえ短期間の入院であっても、この連帯保証人が無いとスムーズに入院できない病院がほとんどです。
しかし、中には連帯保証人を依頼できるような人がいない方もいらっしゃるのも事実です。
特に、近年は身寄りの無い方の入院が増加しており、連帯保証人が依頼できないことも日常化しつつあります。
ではなぜ、病院は連帯保証人を立てることを求めるのでしょうか?
連帯保証人の意味
そもそも、連帯保証人とはどういうものなのでしょうか?
辞書によると、連帯保証人とは主たる債務者と連帯して債務を負担することを約束した保証人のことを指すそうです。
これをわかりやすく例えると、主たる債務者=お金を借りる本人と責任を連帯し、本人が借金の返済困難となった時に代わりに返済を行う保証をした人のことを連帯保証人と呼ぶのです。
お金の貸し借りの場合は、お金を貸した人が借りた人に返済を求めても、踏み倒されてしまえばそこで貸したお金が丸損になるため、貸す側の方が不利な立場となります。
そこで、貸した相手が借金を踏み倒しても、代わりに返済を求める人=連帯保証人を立てておくことで、貸したお金の回収を確実なものにする、という考え方です。
連帯保証人は単純なお金の貸し借りだけでなく、ローンを組んだり事業を起こしたりなど、責任を果たせなくなった時の損失が大きい事柄について立てることが多いものとなっています。
医療費の支払いを保証してほしい!
では、入院をする時に連帯保証人を求めるのはどういった理由があるのでしょうか?
その理由の1つとして挙げられるのは、医療費の支払いを保証するということです。
入院となれば治療費だけでなく、入院中の食事代や差額ベッド代など、諸々の費用を合わせると数万円~数十万の負担になることはザラです。
この支払いができない場合、病院としては大きな損失となります。
特に、医療費の支払いができないまま退院となった方は、通院が必要だったり新たな病気にならない限り病院に戻ってくることがほとんどないのが現状です。
また、稀に健康保険に加入されていない人が入院した場合、10割分の医療費負担ができず、病院としては健康保険からの支給額も無いため入院中にかかった費用全額が病院負担となってしまいます。
このような病院の損失は病院経営そのものを揺るがしかねない問題となってしまいますので、医療費の支払いを確実にしてくれる連帯保証人を求める傾向にあります。
緊急時の対応を相談できる人の確保
医療費の支払いの保証に併せて、病院が連帯保証人を求める理由がもう1つあります。
それは、入院患者に緊急の事態が発生した時、その対応を相談できる相手を確保したいということです。
病院で行われる治療は常に細心の注意を払って行われているのですが、すべての検査において重大な健康被害をもたらす危険性はわずかながらでも存在します。
もしそのような事態が発生してしまった時、本人が意思表示をできない状態となれば治療のことなどを誰が決めるのかが宙に浮いた状態になってしまいます。
また、緊急事態でなくても、病状が悪く死期が迫っている人の意思表示や、認知症など正常な判断ができない人の意思決定といったところも、重要な治療方針を決定する上で考えなければならない大きなポイントとなります。
通常は親族など身近な人がそのような意思決定を行うのですが、もしそのような人がいない場合、連帯保証人となった人が関与する可能性もあるのです。
つまり、連帯保証人は患者本人の入院中の権利を守ることにも関わる、大切な存在と言えるのです。
連帯保証人がいない時の対策法
さて、ここまで連帯保証人の重要性について解説してきました。
しかしながら、世の中には連帯保証人を頼みたくても頼める相手がいない、または頼みづらいという方も少なからず存在します。
そんな時にどうすればよいかについての対策法をご紹介します。
無理をしてでも頼める時は親や友人に依頼する
「頼める人がいない!」と言われるかもしれませんが、まずは本当に頼める人がいないのかをよく考えてみて下さい。
病院側が連帯保証人を求める理由の1つは上記したようにお金の支払いがきちんとできるかどうかです。
つまり、支払いさえ滞りなくできるのであれば、たとえ連帯保証人を立ててもその人に迷惑がかかることは一切ありません。
関係性が疎遠であっても親や知人に連帯保証人を頼むことができたならば、病院側から「保証人の欄が空欄だと・・・」などと言われずに済みます。
これは双方にとって一番良い方法だと私は考えます。
勤め先に相談してみる
短期間の検査入院など、入院期間が短く急変のリスクが少ない状況の場合は、職場と相談することも方法の1つです。
ただし、「身内はいないの?」と聞かれることはほぼ確実なので、もっともな理由を考えてから相談しましょう。
相談相手も誰に声をかけたら承諾してくれそうなのかをしっかりと見極めることが大切です。
保証会社と契約する
最近は連帯保証人がいない人を対象にした保証会社に契約する方法をとる方も少しずつですが出てきました。
この保証会社とは、患者本人と会社間で契約し、会社が連帯保証人として緊急時の対応を行うというものです。
契約内容も連帯保証人として名前を記入し、支払いが難しい場合に会社が立て替え払いをするだけでなく、オプションで入院中に必要な物品を購入してくれたり、亡くなったり自分の意思が明確に表示できないような状態になった時に代わりに身辺処理をしてくれるものまであります。
保証会社を利用するメリットとしては上記のように幅広い対応ができることから、入院時の保証人だけでなく、日常生活においても住居や施設入所の保証人として対応してもらえることも挙げられます。
ただし、保証会社を活用するには事前に保証会社と相談して契約をすることや、契約金の支払いが必要なことを知っておかなくてはなりません。
保証会社も身元保証ができない人を対象にサービスを提供していますので、契約金の支払い等ができない場合は契約が破棄されてしまう可能性があることを覚えておきましょう。
病院のMSW(医療ソーシャルワーカー)に相談する
上記の方法を実践するにはハードルが高かったり、そもそも誰かに頼める人がいない、保証会社と契約するお金も無い、といった方もいらっしゃるかと思います。
そんな時は、入院する病院の医療ソーシャルワーカー(MSW)へ相談してみて下さい。
きちんと事情を伝えれば何か良い方法を教えてもらえるかもしれませんし、連帯保証人がいなくても入院してもかまわないという状況がわかれば、MSWから院内の各スタッフに事情を伝え、連帯保証人のサインなしに入院することができるかもしれません。
これはあくまでMSWと相談した結果としてそうなる可能性があるのであって、相談せずに保証人の記入欄を空白のまま提出することは病院と患者本人との信頼関係に関わってくるような問題ですので、必ずMSWへ相談して下さい。
なお、MSWについては以下の記事を参照ください。
終わりに
今回は連帯保証人がいない時の対策について解説しました。
今回お伝えした内容をまとめると以下のようになります。
- 入院時の連帯保証人は必ず必要です。
- 病院が連帯保証人を求める理由は、医療費の支払いと急変時の対応に困るからです。
- まずは親族や知人に連帯保証人を頼み、難しい場合は保証会社の活用やMSWへの相談を検討しましょう。
ここ最近、病院側が連帯保証人を求めることが意味のあることなのかどうかということが議論され始めています。
少子高齢化社会において、連帯保証人を立てることが今後ますます難しくなってくるからです。
ただ、今回私が記載したように、医療費の支払いだけではなく、緊急時の対応についても責任を負う存在であるからこそ、連帯保証人はこれからも求められる存在であると言えます。
いざという時、自分らしい選択を別の人にしてもらえるように、今一度連帯保証人の意味を考え直し、きちんと保証人を立てられるような関係性を日ごろから意識するようにしましょう。