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高額療養費の合算についてご存知でしょうか?

複数の医療機関での受診や入院・外来を通じて発生した医療費が戻ってくるかもしれません。

合算がどのようなものなのかを解説していきます。

目次

高額療養費の合算とは?

複数の医療機関での支払い額を見ていく

高額療養費制度の上限額は1ヶ月にその人が支払わなければならない金額であり、所得に応じて段階に分かれています。

1つの医療機関のみにかかっている場合は限度額適用認定証の提示を行うことで上限額までの支払いで済みます。

しかし、複数の医療機関で支払いを行っている場合、病院側はそれぞれの医療機関でどれだけ支払われているのかを把握することができません。

そのため、各医療機関ごとで上限額までの支払いを患者側へ求めるようになります。

このような状況は患者側にとってはいくら上限額までの支払いとはいえ、それぞれの医療機関で支払えば医療費の負担が大きくなってしまいます。

高額療養費制度ではこういった患者側の不利益への対策として、高額療養費の合算という考え方を設けています。

つまり、複数の医療機関で支払った金額を合わせて高額療養費の自己負担額を計算できるようになっているのです。

合算の対象について

合算できる対象は次の通りとなっています。

①入院と外来

同月内で入院と外来での支払いが両方発生した場合、入院と外来それぞれで支払った金額を見ていくようになります。

これは同一医療機関であっても違う医療機関であってもそれぞれで金額を見ることができます。

②複数の医療機関

例えばA病院とB病院の2か所へかかった場合、2か所それぞれでの支払い額を見ていくようになります。

3か所かかれば3か所、10か所(多すぎですが・・・^^;)かかれば10か所見ていくようになります。

③医科と歯科

同一医療機関であっても、医科と歯科は別々で計算するようになります。

医科とは歯科以外の診療科のことであり、内科や外科など様々な診療科はひとまとめにして計算します。

合算する場合の計算方法

合算の計算をする場合、以下の点について注意しながら計算します。

①診療を受けた人の年齢

70歳未満の方は各医療機関や診療科で、それぞれ21,000円を超える支払いが行われていれば、超えているものだけ合算することができます。

極端な話、20,999円の支払いでは合算することができず、そのまま支払うことになります。

一方、70歳以上の方はすべての医療機関や診療科で発生した支払いを金額に関係なく合算することができます。

②医療費の部分のみ計算する

例えば入院の場合、医療費以外の支払い(食費等)も併せて行うようになっています。

そのため、医療費以外の部分の金額は除外して計算しないといけません。

 

これらの2点を踏まえ、1ヶ月にかかった医療費を合計したものを高額療養費の上限負担額と照らし合わせるようになります。

 

合算の具体例

それでは実際にどう計算するのかを架空の事例を用いて説明していきます。

具体例その1

鈴木さん(仮名、65歳男性)は区分ウの限度額適用認定証を所持しています。

先月の1日~20日までA病院へ入院し、医療費の部分だけで50,000円の支払いをしました。

その後、先月の25日にA病院の外来へかかり、検査等を行った結果40,000円の支払いをして帰ったものとします。

この場合、70歳未満であることから入院・外来とも21,000円以上の支払いをしているかどうかを見ていきます。

鈴木さんの場合は入院で50,000円、外来で40,000円といずれも21,000円を超えた支払いをしているため、合算することができます。

区分ウの上限負担額(約80,100円)と鈴木さんが支払った金額の合計(90,000円)を照らし合わせると、上限負担額を超えた支払いをしているため、超えた部分は還付申請を行うことができます。

具体例その2

佐藤さん(仮名、58歳女性)は区分エの限度額適用認定証を所持しています。

先月の3日・14日・26日の3回、B病院の外来で診察を受け、合計57,600円の支払いをしました。

その他に、先月の10日・20日の2回、C診療所の外来で合計10,000円の支払いをして帰ったものとします。

佐藤さんの場合はB病院で区分エの上限負担額である57,600円の支払いをされています。

C診療所でも10,000円の支払いをしていますが、C診療所では21,000円を超えた支払いをしていないため、合算することができません。

つまり、佐藤さんはB病院とC診療所で発生した医療費だけでは還付は受けられないことがわかります。

具体例その3

高橋さん(仮名、79歳女性)は後期高齢者医療に加入している一般所得区分の方です。

先月の2日・6日・8日にD診療所の外来へかかり、合計8,000円の支払いをしました。

その後、10日・13日にE歯科へかかり合計4,000円の支払いをしました。

さらに25日~27日までF病院で検査入院をし、医療費の部分だけで50,000円の支払いをして帰ったものとします。

高橋さんの場合は70歳を超えていますので、すべての医療機関で発生した医療費が合算の対象となります。

D診療所・E歯科・F病院でかかった医療費の合計額(62,000円)を後期高齢者医療一般所得区分の上限額(57,600円)に照らし合わせると、上限負担額を超えた支払いをしているため、超えた部分は還付申請を行うことができます。

具体例その4

木村さん(仮名、69歳男性)は区分オの限度額適用認定証を所持されています。

先月の4日・16日・25日にG病院の整形外科で合計30,000円の支払いをしました。

また、20日にG病院の救急外来を受診し、6,000円の支払いをしてした。

さらに、13日・29日にG病院の歯科で合計5,000円の支払いをして帰ったものとします。

木村さんの場合は医科(整形外科と救急科)の合計が36,000円となっており、上限負担額(35,400円)を超えて支払っているため、還付申請が可能となっています。

ただし、歯科の支払いについては21,000円を超えていないため、歯科の部分に関しては合算の対象にならずそのまま支払わなければなりません。

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合算して上限額を超えた支払いをしていることがわかったら

上記の例のように、合算して上限額を超えた支払いをしていることがわかった時には、加入している健康保険に対して還付申請をする必要があります。

診療を受けた翌月から手続きが可能になりますので、以下の書類をもって窓口へ申請に行きましょう。

  • 診療を受けたすべての医療機関でもらった領収書
  • 保険証
  • 印鑑
  • 還付金の振込先がわかる書類(通帳等)

領収書は還付申請をする場合に必要となりますので、大事に取っておくことをオススメします。

基本的に再発行はされない書類になりますので注意しましょう。

病院によっては有料で領収書に代わる書類(領収証明書等といった名前の書類)を発行してもらえるところもありますので、確認してみましょう。

窓口は加入している健康保険ごとで以下のように設けられています。

  • 国民健康保険加入者・・・各市町村役場の担当課
  • 社会保険(協会けんぽ)加入者・・・事業所を管轄する年金事務所
  • 組合保険等・・・各組合保険の窓口

還付申請が受理されると、診療を受けた月から約3か月後に還付金が指定した還付先へ振り込まれます。

すでに診療月から3か月経ってから申請した場合は振り込まれるまでの日数が短くなります。

なお、診療を受けた月から2年間が過ぎた部分の医療費は還付申請の対象外になっていますので、還付申請ができる場合は忘れないうちに早めに手続きすることをオススメします。

 

終わりに

条件はありますが、合算することで余分に支払った医療費が返ってくるかもしれないことがお分かりになりましたでしょうか。

もし、自分が還付申請の対象になっているかどうかがわからなかったり、合算の計算が難しかったりする場合は、迷わずMSWへ相談してみて下さい。

支払い状況の整理を行いながら、還付申請が可能かどうか一緒に考えていくことができます。

今一度、支払った医療費が合算できないかどうか確認してみてはいかがでしょうか?

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