手術の立会いはなぜ必要なのでしょうか?
病院に入院した患者が手術を必要とした時、病院側から立会いを求められることがあります。
しかし、手術の時間は長く、立会い人はその間に何をしたらいいかわからない方もいらっしゃるのではないでしょうか?
今回は手術の立会いについて、そもそも立会いが必要なのかどうか、待っている間に何をするべきなのかについて解説していきます。
目次
手術の立会いが必要な理由
病院は麻酔をかけるような大きな手術をする時、必ず患者の立会い人を手術当日に連れてくるよう求めます。
大抵の人は家族が立会い人として病院へ来院するようになりますが、中には仕事などで立会いができる人がいないことも考えられます。
そのような場合であっても、病院側は必ず誰かしらの立会いを求めてきます。
ではなぜ、病院側は手術の立会いを求めるのでしょうか?
その理由について見ていくことにしましょう。
不測の事態が起きた時の説明が必要
病院が手術時の立会いを求める最大の理由は、手術中に何か不測の事態が起きた時、立会い人に事態の説明を行う必要があるからです。
手術中の不測の事態は、患者の生命に関わるような問題が発生した時を指すことが多いです。
患者自身は麻酔をかけられているため、意思決定ができませんので、本人に代わって意思決定を行う必要があります。
その代理人が立会い人となりますので、立会い人の責任は重大と言えます。
もし立会い人がいない場合は、緊急で決めないといけない患者の治療方針が決まらないという大変な状況になってしまいますので、病院側がしつこく立会い人を求める理由も頷けますね。
家族や連帯保証人が立ち会わないといけない
さて、手術の立会い人は誰でも良いわけではありません。
必ず、重要な意思決定を行うことができる責任能力を持った人でないといけないのです。
一番わかりやすいのは家族であり、例えば配偶者や両親、子といった近親者がなるケースがほとんどです。
もし、家族の立会いが難しい場合は、入院の連帯保証人が立ち会うことも可能です。
連帯保証人は血縁関係が無くても、患者本人の入院を文字通り連帯して保証する人になりますので、立会いが認められるのです。
立会い人を頼める人が見つからない時は?
どうしても手術の立会い人が見つからない時はどうなるのでしょうか?
基本的に、立会い人がいない場合は手術そのものを行わないことが多いです。
特に、重篤な後遺症を引き起こしたり、命を落とすような危険性のある状態の場合には立会い人無しで手術を行うことは余程緊急の状況でない限りは行われません。
手術を受けたいけど立会人を頼める人がいない場合は、保証会社と契約し、連帯保証人になってもらうという方法も考えられます。
連帯保証人がいれば上記の問題は解決されますので、最終手段としてこの方法を知っておくと良いでしょう。
ちなみに、連帯保証人に関する記事も作成してますので、併せてご確認ください。
→入院の連帯保証人がいない時の対策は?名前を書かないのはアリ?
手術中に立会い人がすること
さて、実際に手術を受けることになった時、立会い人は何かしなければならないのでしょうか?
特に、大掛かりな手術を受ける時には時間もかかりますので、その間どう過ごせばよいでしょうか?
実際に病院スタッフとして働いている私が、ぜひ立会い人に覚えていただきたいポイントを解説します。
指定された場所で待機する
手術中は時間もかかるため、立会い人は手持ち無沙汰になってしまうことが多いです。
手術の成功を祈って待ち続けるようになるのですが、時間が長くなるほど立会い人の方も疲れが溜まってきてしまいます。
それと同時に、同じ場所で待ち続けることに耐えきれなくなる人も出てきます。
そんな時に気を付けていただきたいポイントは、必ず最初に指定された場所で待機することを忘れない、ということです。
つい気分転換として外出してしまいたくなりますが、立会い人が待っている間も患者や医療スタッフは懸命に病気と闘っています。
特に、外出してしまうと立会い人の大きな役割である不測の事態への対応ができなくなることも懸念されます。
もし席を外した時に急を要する事態が起きた時、待ってもらっていたはずの場所に立会い人がおらず、連絡も取れないとなれば立ちどころに困ってしまいます。
そのため、どうしても席を外す時には必ずスタッフに行き先と所要時間を伝えて下さい。
席を外す時であっても必ず院内にいることと、長時間(30分以上)離れることが無いように心がけましょう。
どうしても院外に行ったり、長時間席を外す場合は、すぐに連絡がとれるようにしてなるべく早く戻るようにして下さい。
あらかじめ聞きたいことをスタッフに確認しておく
手術中の時間は立会い人にとって行動が制限される時間となります。
しかし、この時間を利用して、術後の生活や日常のケアについてスタッフに確認をすることもできます。
手術が無事に終わった後に身内として患者本人に何をしなければならないのかや、ケアをどのようにしてかかわっていかないといけないのかを勉強しておくことはとても大切なことです。
患者がいないので直接的なケアの方法を教わるのは難しいかもしれませんが、どのようなケアが必要となるのかや、どう対応するのかについての知識は得ることができます。
せっかくの時間ですので、スタッフとの関係性も築いておき、術後に安心してケアの指導を受けられるようにしておくと良いでしょう。
この他にも、病気について聞きたいことなどがあれば疑問を解決できる良い時間となりますので、あらかじめ聞きたいことはメモなどにまとめておき、スタッフに確認してみることをオススメします。
術前・術後の説明を聞き同意する
立会い人の大切な仕事である、術前や術後の病状説明を聞き、それに同意することもこの時間の前後で行われます。
麻酔を使用する手術であれば、手術を受けた直後はまだ患者の意識は戻っておらず、どのような状況でどう手術が行われたのか、手術の結果がどうであったのかを理解することは極めて困難です。
当然、麻酔が切れて意識が戻った後に医師から患者本人に病状説明が行われるのですが、立会い人からも患者に説明することで患者の理解度はグッと高まります。
身近な人から説明を受けることで患者は安心しますし、何より医師よりわかりやすい一般的な言葉で伝えるようになるので、より自身の状態を把握することができるのです。
責任重大な役割ですが、患者本人の安心につながる大切なことですので、しっかり対応できるよう心がけておきましょう。
終わりに
今回は手術の立会いについて解説してきました。
今回お伝えした内容をまとめると以下のようになります。
- 立会い人は手術中に不測の事態が起きた時のために必要な存在です。
- 立会い人は家族や連帯保証人でないといけません。
- 手術中は行動が制限されますが、スタッフとのコミュニケーションをとるなど有意義に過ごしましょう。
病院が手術の立会い人を求める理由はお分かりになりましたでしょうか?
このように、実際の治療に関わらなくてもできることはありますので、立会い人の役割を軽視せず、患者本人のために動いてみましょう。