心臓病と食事は深く関係していることをご存知でしょうか?
心臓病は生活習慣に影響を受けやすい病気で、食事の内容も大きく関係しています。
病気になる原因や、予防する方法もすべて食事が絡んでいるため、心臓病の人は食事のことを勉強してみましょう。
今回は心臓病と食事の関係について、具体的な制限や内容、利用できる公的サービスについて解説していきます。
目次
心臓病と食事
心臓病の原因となる食事
心臓病になる人の多くは、長年不健康な食生活を続けてきたことが原因の1つとして挙げられます。
不健康な食生活は心臓病だけでなく、様々な病気にかかるリスクを高めることにつながってしまうのです。
いわゆる生活習慣病と密接に関係している心臓病は、特に以下のような食事を摂り続けていると発症しやすくなるとされています。
- 過剰な塩分摂取
塩分の高い食事を摂り続けることで高血圧になる危険性が高くなります。
高血圧は心臓に大きな負担をかけるだけでなく、体中の血管に負荷をかけ、出血や動脈硬化の原因となります。
- 脂肪分の多い食事
脂肪分の多い食事を摂り続けると、肥満になるリスクが上昇したり、高脂血症という血中の脂肪分が増加したりする状態につながります。
ドロドロになった血は血流を悪くし、血栓=血の塊をできやすくし、心筋梗塞や脳梗塞などの危険性を高めてしまいます。
- 多量のアルコール摂取
アルコールは体内の脂肪の代謝を抑えてしまうため、高脂血症の進行を助けてしまいます。
しかし、一番怖いのはアルコールを摂取する時に一緒に食べるおつまみになります。
おつまみは塩分や脂肪分が多く含まれるものが多く、不健康な食事になりやすいとされています。
また、アルコールの分解には体内の水分を必要とするのですが、塩分の多いおつまみを食べることでさらに拍車をかけるような形で脱水がすすんでしまいます。
脱水の状態になると血液がドロドロになり、病気のリスクが高まってしまいます。
- 高カロリーな食事
必要以上にカロリーの高い食事を摂り続けることで肥満のリスクが高くなります。
肥満はあらゆる病気の原因となる状態であり、心臓病の発症リスクも肥満の人の方がそうでない人に比べ高くなることが明らかになっています。
心臓病を治すのも食事
上記のような不健康な食生活を続けることで心臓病になる危険性が高くなるのですが、逆を言えば上記のような食生活の逆の食事を続ければ健康な状態が維持できるということです。
もちろん、心臓病になった人も健康な食事を続けることで病気の再発リスクを抑え、長く生きることができるのです。
しかしながら、
「そうは言ってもすぐには直せないよ…」
「結局、どういう食事を摂ればいいの?」
「健康な食事なんて毎回準備が大変…」
という思いであきらめてしまっている方も大勢いるのもまた事実です。
中には開き直って不健康な食事を続ける人もおり、そういう人は再発して入退院を繰り返し、段々と心機能が低下し自由な生活が難しくなってしまいます。
そんな方に向けて、食事のどのようなところに気をつけなければならないか、サポートしてくれるサービスはあるのかを次項で解説します。
心臓病を予防する食事制限とサービス
心臓病を予防する食事のポイントとは何なのでしょうか?
食事制限の内容
では心臓病を予防する食事のポイントについて解説していきます。
基本的には心臓病の原因となる食事の逆のことをするようになるので、以下の点をよく覚えておきましょう。
適度な塩分摂取
塩分は生きていく上で欠かせないものですが、過剰な摂取は不健康になる原因になってしまいます。
厚生労働省は1日当たりに成人が摂取する塩分量の上限目標を10gとしています。
これを超えると高血圧などのリスクが増加してしまいます。
しかし、厚生労働省の国民栄養調査によると、健康な人で1日当たり平均して12g以上の塩分を摂取していることが報告されており、病気でない人も塩分の過剰摂取を気を付けなければならないことが明らかになっています。
普段から手に取る食材や、外食時のメニューに記載されている塩分量に注意し、過剰摂取にならないよう努めましょう。
特に、心臓病の人の場合は塩分制限がかかり、上限が6g程度に設定されることもあります。
カップラーメン(スープまで全部飲む)は1食だけで6gを超えるものもあり、食べ物によっては簡単に制限値を超えてしまうため注意が必要です。
そのため、通常の場合よりさらに食事に気を付けなければならず、栄養に関する知識も習得しなければなりません。
脂肪分を抑え、食物繊維を摂る
高脂血症の予防のため、脂肪分が多く含まれた食材を多量に摂取することを避け、その分、食物繊維が多く含まれたものを摂取することを心がけましょう。
脂肪分が多く含まれる食べ物は、食肉の脂身やバター・チーズといった動物性の加工食品、食用油を使った料理(揚げ物など)といったものが代表的です。
このような食べ物を避け、代用品として魚類を摂ることがオススメです。
魚類の脂肪分は動物性の脂肪分とは異なり、血中コレステロールを下げる効果があります。
また、食物繊維を多く含む野菜、とりわけ根菜類はビタミンが含まれ動脈硬化の予防にもつながり、コレステロールや糖質の吸収を緩やかにするため、うってつけの食材と言えるでしょう。
アルコールの摂取を控える
アルコールの摂取は心臓病の人の身体にとってメリットがほとんどありません。
アルコールと摂るとついおつまみに手が伸びてしまいがちになったり、いつの間にか飲酒量が増えていたりと不健康な状態に陥りやすいです。
特に、飲酒時は判断力も低下するので、どうしても飲まないといけない時以外はアルコールの摂取は控えましょう。
この「どうしても」という量は、1日当たりでビール中瓶なら1本、日本酒なら1合、ウイスキーダブルなら1杯までと推奨されていますので参考にしてみて下さい。
適切なカロリー摂取量を知る
過剰なカロリー摂取をしないために、自身の適切なカロリー摂取量を知るところから始めましょう。
まずは標準体重を身長(m)×身長(m)×22で計算し算出します。
標準体重が出たら、自身の仕事や運動量に合わせて、軽い仕事やデスクワークが多いのであれば25を、立ち仕事が多いのであれば30を、肉体労働をしている人は35をかけてみましょう。
算出された数値が必要なカロリー摂取量を少し厳しめに算出した数値になります。
この数値以内に収めることで、カロリーオーバーになることは避けられるかと思います。
適度な運動を行う
食事の内容を改めるのと同時に、適度な運動を行うことも重要です。
せっかく制限した食事を摂っても、運動して消費しないことには意味がありません。
適度な運動は健康の増進につながりますので、毎日欠かさず行うようにしましょう。
食事制限に活用できる方法や公的サービス
心臓病を予防するためのポイントを上記しましたが、いざ実践するとなるととてもハードルが高い人も多いのではないでしょうか。
生活習慣を大きく変えるのはなかなか難しいことで、食事内容もまた同様に大きく変えるのは難しいことと思います。
そのため、次のようなサービスや工夫を活用し、少しでも状況を変えてみるように努めてみましょう。
病院の栄養士から栄養指導を受ける
心臓病で入院したり通院している場合、病院によっては栄養士から食事の内容について指導を受けることができます。
食事面でどのようなことに気を付ければ良いのか、どういった食べ物を選べば良いのかなど、その人にあった方法を提案してくれることでしょう。
健康を一番に考えた提案をしてくれるので、指導内容を守ることで病気の再発リスクは一段と少なくなることと思います。
栄養士からの指導が受けられるかどうかは主治医や看護師に尋ねてみるとよいでしょう。
家族の協力を得る
患者本人だけで食事制限を守ることが難しい場合は、家族などサポートしてくれる周囲の人を活用することが大切です。
サポートしてくれる人と一緒に指導を受け、声を掛け合いながら食事に気を付けることが大切です。
健康な人であっても食事を気を付けることでより長く生活できるようになりますので、支援する側とされる側の両方にメリットがあると言えます。
配食サービスの利用
健康な食事の準備が難しい人は、民間の業者が行っている配食サービスを利用するのも手です。
心臓病の人向けの塩分制限をかけた食事など、業者によっては治療食を扱っているため、簡単に健康な食事を摂ることが可能になります。
高齢の方や障害のある方は自治体によって配食サービスを安価で行っているところもあります。
詳しくはお住まいの自治体へ確認してみましょう。
終わりに
心臓病を予防したり、悪化させないようにするためには、食事に気を配ることが大切です。
健康な食生活を送ることは、不健康な生活を送ってきた人ほど始めは難しく感じるものですが、周囲のサポートを受けたり正しい知識を得ることで簡単に続けられます。
もし食事に関するサポートやサービスのことでお困りになれば、病院の栄養士やMSWに相談してみましょう。
安心した在宅生活を送れるようになりましょう。