ドラマの病院の医療シーンはどうやって撮影しているのでしょうか?

各クールで放映される連続ドラマには必ずと言って良いほど医療系のドラマが含まれています。

どのドラマも私たちを引き込むような面白さと、次も見たくなるような仕掛けがありますよね。

こういったドラマで登場する病院の医療シーンは、いったいいつ、どこで撮影されているのでしょうか?

今回はドラマの病院のシーンがどうやって撮影されているのかについて、実際に病院に勤めている私がお伝えしようと思います。

目次

病院のシーンはいつ撮影してる?

私たちが普段目にしている医療系のドラマですが、もし普通に撮影するとなれば、日中は患者もいて大変なことになってしまいます。

病院には治療のために来る人が多いので、ドラマの撮影で診療が妨げられると病院側も患者側も困ってしまうことでしょう。

ですが、ドラマでは日中のシーンも多く放映されており、疑問は深まるばかりです・・・。

いったいいつ撮影されているのでしょうか?

撮影は休日や夜間に行われることが多い!

実は、病院における撮影は患者や見舞客の少ない休日に行われることが多いのです。

さすがに平日の日中は病院業務を妨げることにつながりますので、撮影する側もきちんと配慮されていますね。

病院が休みの日であれば外来や診察の場はガラガラなので、自由に使うことができます。

また、診察が終わった夜間に撮影が行われることもあります。

この場合、時間が夜のシーンだったり、窓が映らないようにして時間がわからないように撮影したりなど工夫されているそうです。

夜間の撮影は入院患者の迷惑にならないよう、音に注意して行われているので、入院患者も撮影に気づかないことが多いのが特徴です。

勤務している職員も撮影のことを知らない・・・

上記のように工夫して撮影されていることから、実は撮影現場の病院に勤務している職員も撮影のことを知らなかった、ということもあります。

実際に、私が勤務している病院も以前撮影に使われたことがあるのですが、勤務中は撮影についての情報が一切入ってこず、放映時になって初めてわかったという経験があります。

撮影に協力した病院職員も、放映時まで一切口外しなかったことから、撮影に協力した職員には口止めを約束していることがわかります。

さすがに、放映前にあれこれしゃべられてネタバレされるのは撮影側としても避けたいところですからね。

こっそり撮影日がわかることも・・・?

しかしながら、病院に撮影に来ているという情報はどこかしらか漏れて伝わってくることもたまにあります。

これは、地方の病院を撮影現場として使う場合に、地元の店に芸能人が来たり、病院にそぐわない撮影機材が運ばれたりというところを目撃されて発覚することがほとんどです。

まさに運とも言えますが、熱狂的なファンはSNSなどの情報を駆使して、好きな芸能人が今どこに撮影に行っているか、何のドラマの撮影をしているかと把握し、場所を特定している人もいるそうです。

撮影による滞在日数などを逆算すれば、こっそり撮影日がわかるかもしれませんね。

ただし、撮影現場を無断で覗くことは撮影側だけでなく、場所を提供している病院や患者にとっても迷惑がかかることなので、やってはいけないことであるとしっかり認識して下さい。

撮影される病院の場所はどこ?

では実際にドラマで撮影されている病院はどの病院が選ばれるのでしょうか?

ドラマではよく同じ病院が使われる、なんてことがありますが、その基準などを見ていくことにしましょう。

室内のシーンや医療シーンはセット撮影が多い

まず、基本的に室内のシーンや医療シーンはセットを使用した撮影が多いのが特徴です。

医療系のドラマはその性質上、室内(病院内)のシーンが多くなっています。

例えば病室や手術室、医局などは医療系のドラマには欠かせない場所だと言えます。

このようなシーンは撮影時間や回数が多く、何度も撮り直しが予想されることから、撮影にとって都合の良いセット撮影が用いられることが多いです。

セット撮影であればわざわざ病院に行かなくても、時間や場所を選ばず迷惑をかけないので撮影側が自由に動くことができます。

特に、最近はCGも進化してきているため、ちょっとした屋外の撮影もセット撮影で対応することもあるそうです。

こういったセット撮影ではカバーできない、病院の建物全体を撮影するようなシーンや、広い外来を活用したシーンを現場で撮影していくようになります。

撮影場所は関東周辺が多い!?

ドラマや映画の撮影で使われる病院の撮影は、主に関東周辺の病院が選ばれている傾向にあります。

撮影となれば撮影スタッフがいる都心部からアクセスしやすいところを中心として選定されますので、この選択はある意味当然と言えます。

ドラマの設定で地方の病院を使う時には地方へ出向くこともありますが、基本的に正規の病院名をそのまま出すことはないため、地方の病院の設定であったとしても名前を隠して都心部で撮影することもあります。

皆さんの身近にある病院が撮影に選ばれているかもしれませんね^^

撮影に選ばれやすい病院の特徴

いろいろな医療系のドラマを見ていると、

「あれ、この場所、他のドラマでも見たことがある!」

と思ったことはありませんか?

実は同じ病院のシーンでも撮影に選ばれやすいところがあるのです。

病院そのものについては、過去に他のドラマや映画での撮影経験がある病院は選ばれやすい傾向にあります。

新しく撮影場所を開拓するよりは、経験のあるところへ依頼する方が話が通りやすいということでしょう。

1つ例を挙げると、千葉県にある東千葉メディカルセンターは何度も連続ドラマの撮影に使われています。

この記事を作成した2018年4月から放送されるブラックペアンという連続ドラマでも使用されているそうです。

他にも、連続ドラマの続編が放送される場合は以前と同じ撮影現場を使用することが多いということも理由として挙げられます。

また、病院の建物すべてではなく、一部分のみを撮影に使用したり、稼働していない病棟を借りたりなど、病院の中でも撮影場所を工夫しているという点も挙げられますね。

病院の建物もセット撮影だった!?

さて、実は病院の外観の撮影に病院を使っていないこともある、と聞いたら皆さん驚かれるでしょうか?

見た目が特徴的な病院がドラマの1シーンに出てくることは多いですが、すべての病院が奇抜な作りをしているわけではありません。

実は外観だけの撮影であれば、病院ではなく、デザインに凝った大学の校舎や博物館などが選ばれることもあるのです。

よく見ると地元の知ってる建物だった、なんてことがあるかもしれませんね。

また、病院そのものが撮影セットだった、ということもあります。

例えば、初台玉井病院スタジオは実際の廃病院を改修し、撮影スタジオにしたところとして、多くのドラマ撮影に使われています。

一般の方でもお金さえ払えば撮影現場として使えるうえ、外観だけでなく病室や診察室、手術室など主だった撮影場所も元病院なので兼ね備えているところが特徴ですね。

終わりに

今回はドラマの病院のシーンがどうやって撮影されているのかについて解説しました。

今回お伝えした内容をまとめると以下のようになります。

  • 病院のシーンは休日や夜間に撮影されており、職員もそのことを知らないことが多いです。
  • 撮影される病院は同じところが多いです。続編が出るともう一度同じロケ地で撮影も・・・?
  • 病院に限らず、大学や博物館、撮影スタジオなど多くの場所で撮影されています。

普段何気なく見ているドラマがこうやって撮影されていることを知ると、より楽しく見ることができるようになりますね。

繰り返しになりますが、ドラマの撮影は秘密裏に行われることが多く、ロケ地として使われる病院には一般の患者も存在します。

ロケ地巡りをする方も増えていますが、くれぐれも迷惑をかけることが無いように注意するのが本当のファンだと思います。

節度ある行動を心がけて、楽しんでみましょう。