配食サービスについてご存知でしょうか?
文字通り、自宅に食事を届けてくれるサービスなのですが、その内容は最近特に充実してきているのです。
配食サービスをうまく活用することで、病気を抱えた人でも在宅での生活がより長くできる可能性があります。
今回は配食サービスの内容や、気になる介護保険との関係について解説していきます。
配食サービスの内容
自宅まで食事を届けてくれる、出前とは違うサービス
配食サービスは上記のように自宅まで食事を届けてくれるサービスです。
しかし、それだけでは出前を取るのと何ら変わりがありません。
配食サービスの特徴は以下のようなものが挙げられます。
- 高齢者世帯や障害者を対象にしている
- サービス利用者の安否確認を兼ねる
- 栄養バランスのとれた食事や治療食の対応も可能
- 自治体の運営するサービスは比較的安価
以下に1つずつ解説していきます。
高齢者世帯や障害者を対象にしている
配食サービスは高齢者世帯や障害者を対象にしたサービスになっています。
自力で調理をすることが難しかったり、買い物に行くことができず食糧を調達できなかったりする高齢者や障害者がターゲットになっているのです。
何もしなくても自宅まで食事が届けられるのは、外出が困難な人にとっては心強いことでしょう。
サービス利用者の安否確認を兼ねる
配食サービスの目的は食事を届けることだけではないのです。
自治体が運営している配食サービスは利用者の安否確認を兼ねているのです。
高齢者世帯や障害者の様子を配達時に確認し、もし様子が違ったり、配達に行っても受け取りに出てこなかった時はケアマネジャーなどに連絡が入るようになっています。
これにより、病気で倒れてしまった状態でも早期に発見することができたり、孤独死を予防したりなどという効果を狙っています。
栄養バランスのとれた食事や治療食の対応も可能
配食サービスは健康食をベースにした内容になっており、基本的に栄養バランスのとれたものが届けられます。
偏った食生活を改善させるためにはうってつけの内容となっているのです。
また、病気のため栄養制限が必要な人でも、栄養制限に合わせた食事を届けてくれることも可能です。
例えば、塩分制限が必要な心臓病の人には塩分を抑えた心臓病食、低タンパクやカリウム制限が必要な腎臓病の人には腎臓病食といったものがあります。
自治体の運営するサービスは比較的安価
配食サービスの運営は主に自治体がやっているものと、民間企業がやっているものの2つに分けられます。
このうち、自治体が運営しているものは配食対象や回数が制限される代わりに、1食当たりの費用は少なくなっているのが特徴となっています。
一方、民間企業の運営しているサービスは値段こそ自治体のものより高くなりますが、3食届けてくれたり、配食対象の限定もないのが特徴です。
どんな食事が届くの?
では、配食サービスでは実際にどんな食事が届くのでしょうか?
主食が付いた食べやすい形態のお弁当
配色サービスは対象が高齢者や障害者となっていますので、特に栄養制限等をかけていない普通のものであっても、少し柔らかめの調理がされたお弁当が届くようになります。
主食(ご飯)がついており、メニューは毎食変わるのですぐには飽きが来ない工夫が凝らされています。
特に、副食はメインとなるおかずに数品別のおかずがついているのが特徴です。
彩りを楽しむことができ、かつ量もそれほど多くないので食が細くなりがちな高齢者でも十分完食できるかと思います。
そして、何と言ってもできたてのものが届けられるのが一番の特徴です。
温かい手作りの食事が届くのは利用する人にとって1つの魅力ではないでしょうか。
食事形態を変更することができる業者もある
利用者の中には通常の食事形態では食べることが難しい状況の人もいます。
主として飲み込みの機能が衰えて、誤嚥をしてしまう可能性がある人です。
そのような人でも安心して食べられるような食事形態のものを提供してくれる業者もあります。
例えば、副食を食べやすいように細かく刻んだ刻み食や、噛まずに舌で簡単に潰せるほど柔らかい食事、さらにはミキサー食に準じたムース食の対応ができる業者も存在します。
入院中に食べていた食事形態が自宅でも継続できることは、自宅での療養生活を長く続けるうえで心強いものとなるでしょう。
冷凍弁当の宅配もある
民間の業者の中には高齢者向けの料理を冷凍し、弁当にして宅配するサービスをやっているところもあります。
このサービスの特徴は事前に弁当を購入しておくことで、解凍さえできれば自分の好きな時に食べることができるというところにあります。
ある業者を例にとると、メニューから好きなものを好きな個数分注文することができ、クール便で自宅へ届けてくれるというものがあります。
メニューも一定期間ごとで変更になるので、様々な料理を食べることができ、飽きが来ない工夫がされています。
冷凍食品と聞くと「体に悪そう」「おいしくなさそう」というイメージをお持ちの人がいるかもしれませんが、高齢者向けの料理ですので、解凍した後も栄養バランスが保たれた、しっかりとした味付けのおいしいものになっています。
実際に配食サービスの弁当を食べてみた
筆者は配食サービスの冷凍弁当の試供品を何度か食べたことがあります。
ちなみに試供品と言っても、普通に注文をして届けられる通常の大きさの弁当になります。
感想としては、筆者は年齢がまだ若いので食べ終わった後の満腹感はあまりなかったのですが、少し時間が立つとしっかりとした腹持ちの良さを感じることができました。
高齢者で食が細くなった方であれば十分すぎる量を食べることが可能となっています。
また、解凍した弁当は冷凍食品とは思えないほど完成度が高く、見た目もきれいでした。
思わず成分表を何度も見返してみましたが、主食・副食すべて合わせて1食当たり塩分1g程度の健康食品にもかかわらず、濃い味付けを好む人でも満足できる内容となっていました。
何よりどの食材も柔らかく、食べる人のことを考えていると実感できるものでした。
配食サービスと介護保険
配食サービスは介護保険サービス外のサービス
配食サービスは実は介護保険のサービスに含まれていません。
介護保険ではデイサービスなど施設で食事を提供するものや、ヘルパーのように自宅にある食材で食事を作ってくれるサービスはあります。
しかし、食事そのものを届けてくれるサービスは無いのです。
配食サービスや上述したように自治体や民間業者が行っているサービスになるのです。
そのため、自治体によっては配食サービス自体をやっていないところもありますので注意しましょう。
配食サービスの利用方法
では配食サービスはどのようにすれば利用できるのでしょうか?
実は自治体のサービスと民間業者では利用方法が異なっています。
- 自治体のサービスの場合
自治体が配食サービスを行っている場合は、市町村役場や地域包括支援センターなどが窓口になっていることが多いです。
これは上述した安否確認を兼ねるため、サービス利用の条件に該当するかどうかの確認や、介護保険サービスを利用している場合は担当のケアマネジャーなどと連絡をとったりして連絡体制を整える必要があるからです。
そして、無事にサービス利用が決定すれば指定された日時に食事が届けられるようになります。
なお、このサービスは上述のとおり安否確認を兼ねているため、食事が届けられる時間帯は必ず自宅にいる必要があります。
用事などで留守にする場合は事前に業者へ連絡し、不在になる旨を伝えておかないと「連絡がつかない」と関係者に連絡されてしまいかねません。
- 民間業者のサービスの場合
民間業者の場合は直接業者と連絡をとり契約をすることで、契約通りの配達を受けられるようになります。
冷凍弁当の宅配の場合も事前に注文することで、クール便でまとめて送られてくるようになります。
またこちらも当たり前ですが、食事を届けてもらう時間帯には自宅にいるか、いない場合は不在の連絡をあらかじめ業者へすることが必要です。
担当ケアマネジャーなどに連絡することは基本的にありませんが、費用はこちらの方が高いことが多いので余計なお金を支払うことになってしまうので注意しましょう。
ちなみに、自治体・民間業者どちらの場合でもサービス利用の前に試食ができるところもありますので、他の業者と比較をしてみたい場合などは相談してみましょう。
終わりに
配食サービスは自宅での生活を長く続けるための1つの方法です。
特に食事は生活に欠かすことができないものですので、このようなサービスを利用するという選択肢も考えてみてはいかがでしょうか。
もしサービスについて知りたかったり困ったことがあった場合は、最寄りの市町村役場や地域包括支援センター、担当ケアマネジャーや病院のMSWへ相談してみて下さい。
安心した在宅生活を送れるようになりましょう。