介護用ベッドは介護保険で使えるようになるのをご存知でしょうか?
介護用ベッドは在宅で介護をするための心強い味方です。
実は質の良いベッドが介護保険を利用することで簡単かつ安価で利用することができるのです。
今回は介護保険を利用して介護用ベッドを使用する方法と、気になる費用や条件について解説していきます。
目次
介護保険で介護用ベッドを利用する方法
介護保険で介護用ベッドを借りる
介護保険で介護用ベッドを利用する方法を解説する前に、介護保険を利用する場合はレンタルのみになることを説明しておきます。
介護保険では福祉用具に関するサービスを利用することができるのですが、貸与(レンタル)と購入の2つの方法で利用することになります。
福祉用具貸与は対象となる福祉用具を借りることができるサービスで、介護用ベッドはこの項目に含まれます。
福祉用具貸与の対象はこの他に車いすや歩行杖なども対象となります。
一方、福祉用具購入は福祉用具を購入した際の費用の9割分が介護保険から支給されるというものです。
購入対象となる福祉用具はレンタルが難しい消耗品やポータブルトイレといった衛生用品、シャワーいすなどといった地肌に直接触れる水回りのものが対象となります。
介護用ベッドの購入をしたい場合は、介護保険から費用が出ないので注意が必要です。
まずは介護保険申請を行う
介護保険で介護用ベッドを利用するためには、大前提として介護保険の申請が必要です。
介護認定を受けていない場合は認定を受けるべく申請を行いましょう。
認定がはっきり下りるまで約1ヶ月かかりますので、ある程度余裕を持った申請を心がけるのがコツです。
晴れて認定が下りればベッドを利用することができるようになりますが、下りた認定結果によって無条件で借りれる場合とそうでない場合があります。
詳しくは後述致します。
担当ケアマネジャーを決め、ベッドレンタルの相談を行う
認定が下りたらサービス利用について担当ケアマネジャーを決めて相談しましょう。
ケアマネジャーは介護保険のサービス利用について窓口になってくれる人です。
ケアマネジャーは要支援の認定が下りた場合は住所地を管轄する地域包括支援センターに、要介護の場合は最寄りの居宅介護支援事業所にいますので、それぞれ連絡をとってみましょう。
ベッドレンタルの意向を相談すると、ケアマネジャーから業者に連絡し、自宅にベッドが届くようになるのです。
なお、ベッドは業者が設置までしてくれますので、置き場所の確保だけしておけば組み立てからすべて対応してくれます。
介護用ベッドのレンタル費用
介護保険を利用すると月額1,000円台から借りれる
介護用ベッドをレンタルするのに必要な費用は、借りる業者やベッドの種類によって変わりますが、費用としては月額1,000円台で済むことが多いです。
業者やベッドの種類による誤差は数百円程度であり、おおむね上記の金額で毎月借りれるのです。
ちなみに、介護用ベッドを購入しようとすると10万円台~という費用が発生します。
レンタルの場合と比較した場合、なんと約10年以上使用しないと釣り合わない計算になります。
また、レンタルの場合はベッド本体だけでなく、マットレスやサイドレール(ベッド柵)がついてくることが多いです。
これらも含めた費用となりますので、非常に安価で介護用ベッドを利用することができるようになるのです。
介護保険を使わなくてもベッドが借りれる?
実は介護保険を利用しなくてもベッドレンタルは可能です。
ただし、その場合は直接業者と契約をする必要があることと、介護保険でのレンタル費用に比べ高額になることが特徴として挙げられます。
実費でのレンタルの場合、業者に寄りますが月5,000円前後が相場となるところが多いです。
長期間利用する場合は介護保険を利用した方が負担が少なくで済むのです。
逆に、実費でレンタルをするのが望ましい方は以下のとおりです。
- 介護保険の認定が下りないような状態の人(自立している、介護保険の対象年齢でないなど)
- 介護保険認定が下りるまで待てない状況の場合
特に、介護認定が下りるまでに介護用ベッドを必要とする場合は、ケアマネジャーを先に決め、ベッドレンタルの意向を伝えることが必要です。
こうすることで、認定が下りた後に介護保険を利用した金額にスムーズに切り替えることができるのです。
介護保険でベッドレンタルを利用するための条件
では、実際に介護保険でベッドレンタルする際に必要な条件は何なのでしょうか?
要介護2以上の人が対象
介護保険を利用してベッドレンタルする場合、対象となるのは要介護2以上の人になります。
要介護2以上であると起居動作に介助を要する場合が多いため、このような設定になっています。
一方、要介護1や要支援の人は原則としてベッドレンタルはできないことになっています。
しかし、そのような状態の人であっても、以下の条件を満たせばレンタルすることができるのです。
主治医の意見があれば軽度者でもレンタルが可能
要介護1や要支援といった、いわゆる軽度者が介護用ベッドをレンタルする場合、主治医に「介護用ベッドの利用を必要とする」という意見を出してもらう必要があります。
介護用ベッドは電動で起き上がりの補助をする機能が付いているものです。
この「起き上がり」の動作が自力でできない場合や、病状により介護用ベッドの利用が望ましいと医学的に判断される場合は、主治医が意見を出すことでレンタルできるのです。
そのため、軽度者でベッドレンタルを利用したい場合は、診察の時に主治医に相談し、許可を出してもらえるようにすることがポイントになります。
もちろん、医学的判断が付いてきますので、明らかに介護用ベッドが必要無い状況であれば許可は下りませんので、注意しましょう。
介護用ベッドの選び方
介護用ベッドの種類
介護用ベッドは主に電動で動く箇所の数でタイプが分かれます。
- 1モーター式
ベッドの高さ調整か、背上げ調整を同時に動かす機能のどちらか1つだけの機能がついているベッドです。
軽度の利用者向けですが市販のベッドでも機能が付いているものがあり、ベッドレンタルではあまり利用されません。
- 2モーター式
ベッドの高さ調整と、背上げ・ひざの高さが調整できる機能が付いたものです。
ベッドレンタルで使われるタイプのもので、介護用ベッドの使用が初めての人に選択されることが多い様式です。
- 3モーター式
ベッドの高さ調整と、背上げ、ひざの高さ調整がそれぞれ別々に稼働できる機能性の高いベッドになります。
ベッドレンタルで使われる主流のタイプで、これがあれば大抵の介護は楽になります。
- 4モーター式
3モーター式の機能に加え、自力で寝返りが打てない人のためにベッドが左右に傾いて床ずれを予防する「寝返り機能」がついているものです。
やや特殊な機能のベッドになっており、レンタル料も少し高くなります。
上記の4つの機能を主として、敷布団に慣れた人やベッドからの転落リスクの高い人を対象とした低床ベッドなど、付加機能のあるベッドも存在します。
介護用ベッドを選ぶコツ
介護用ベッドを選ぶコツは上記の機能をもとに、何を必要とするのかを判断するということです。
ベッドを利用する人がどんな動作ができ、どんな動作に介護を要するのか、介護者がどんな動作を負担と感じるのかを見極めましょう。
もし種類に悩む場合はケアマネジャーや、入院中の場合はリハビリスタッフに尋ねるのが効果的です。
ベッドの特徴と患者の状態を照らし合わせ、適切な種類のベッドを勧めてくれることでしょう。
終わりに
介護用ベッドは安価で在宅での介護をしやすくする道具です。
ほんの少しの手続きと工夫だけで介護者の負担は軽くなり、要介護者も安心した療養生活を送れるようになります。
もしベッドレンタルのことで悩むことがあれば、ケアマネジャーやリハビリスタッフ、MSWへ相談してみて下さい。
安心した療養生活が送れるようになりましょう。