MSW(医療ソーシャルワーカー)になるには、何をすればよいのでしょうか?
これからMSWを目指している人、理想のMSWになりたい人は是非この記事を最後まで読んでいただきたいと思います。
今回はMSWになるためにはどうすれば良いのかについて、資格は必要なのか、学生生活の過ごし方はどうすれば良いのか、就職のポイントなど、現役MSWである筆者が具体例を挙げながら解説したいと思います。
なお、MSWの業務内容についてはこちらのページに詳細を記載していますので、是非ご確認ください。
MSW(医療ソーシャルワーカー)になるには
高校卒業後からMSWになるまでの流れ
そもそも、MSWになるにはどういった学校を出れば良いのでしょうか?
MSWは医療機関における福祉のエキスパートです。
そのため、社会福祉系の勉強を専攻できる大学や短大・専門学校を卒業する必要があります。
上記の学校では社会福祉に関する勉強を専門的に行い、現場で働くためのスキルや社会福祉の思想などを身に付けるようになります。
卒業後、大学に進学した人は大学院への進学を間に挟む人もいますが、ほとんどの人は福祉の現場を主として様々な場所へ就職します。
その就職先の中で医療機関を選び、かつMSWとして就職を希望し入職できた人がMSWとなるのです。
医療機関によって就職方法が異なる
上記のように、MSWになるには医療機関へ就職することが前提となります。
この医療機関ですが、実は私立の病院と国公立病院・保健所の2つで就職方法が異なっています。
私立の病院は一般企業と同様に病院側の求人に募集して試験を受け、入職するという流れになります。
一方、国公立病院や保健所は常勤職員になろうとする場合、各自治体の公務員試験を受けなければなりません。
公務員試験に合格することで晴れて上記医療機関への配属になるのですが、自治体の中で国公立病院が複数ある場合は病院間で異動が発生することもあります。
社会福祉士・精神保健福祉士資格がほぼ必須となる
MSWになるには特別な資格は法制度上必要ありません。
しかし、現状は国家資格である社会福祉士や精神保健福祉士の取得がほぼ必須となっています。
一般の病院では社会福祉士、精神科病院では精神保健福祉士の資格を持った人を求人として募集することがもはや当たり前となってきているのです。
これは、福祉系の勉強を修了し、専門職として患者の療養を担当するということを病院側が求めているからです。
近年、病院に入院した患者の退院支援が重要であるという考え方によって、どの病院も生活問題に対するエキスパートである人材を確保することが必要とされてくるようになりました。
国も退院支援に関する加算を認めるようになり、社会福祉士や精神保健福祉士が関わった退院支援に報酬を出すようになったのです。
これは今までのMSWの歴史の中で、ようやくMSWの仕事が医療機関、ひいては国に認められたという証明であると同時に、国家資格を持った専門職が関わらないといけないという責務を打ち出したものになります。
以上のことから、MSWになるには社会福祉士か精神保健福祉士の資格を取得することがほぼ必須であると言えます。
MSWになるための学生生活の過ごし方
では、具体的にMSWを目指している学生の方々に向けて、どのような学生生活を送ると良いのかをお伝えしようと思います。
といっても、最初から小難しいことを話してもイメージが湧きにくいと思うので…ここは少し恥ずかしいですが筆者の学生生活を交えてお伝えしようと思います。
筆者の学生生活を振り返って
私は4年制の福祉系大学を現役で入学し卒業しました。
実は私はもともとMSWになろうと思って大学に入学したわけではありませんでした。
私の家庭の経済状況が良くなかったことから、何とか学費が安い大学に入りたいということだけ考え、合格したのがたまたま福祉系の大学だったのです。
専門的な勉強は1年の後期から本格化し始め、2年以降は毎年長期休暇中に現場実習が入るカリキュラムの中、講義と現場の実践を比較しながら理解していくという毎日でした。
経済的な余裕もなかったので、奨学金を借りながら親に学費を出してもらい、自分の小遣いはバイトで稼ぎました。
ただ、バイトは自分の勉強のためにと、募集があったヘルパーのバイトに応募し、卒業まで続けました。
同級生のほとんどは卒業後の就職先を何らかの福祉現場で働くことを考えていたので、レポートや講義は大変でしたが、勉強そのもののモチベーションが下がることは私を含め同級生の間ではありませんでした。
自発的に勉強を行うグループも作り、社会福祉士資格の合格に向けて全員が力を合わせたことは今でも鮮明に覚えています。
MSWを目指すようになったのは3年のゼミ決めの時で、漫然と「病院で働きたい」という思いがあったことから元MSWの教授のゼミへ入ることになったのが始まりです。
卒論を通して医療機関への訪問や実習を行い、現場で働くことのイメージを膨らませていきました。
他のゼミ生のほとんどがMSWとして就職が決まり、私もMSWとして就職が内定したというのが、大まかな流れになります。
この流れを通して、具体的に「こんな時にこうすればよかった」「こういったことをしておいた方が良い」ということをポイントとして以下に紹介していきます。
MSWになるきっかけは何でもOK!
まず、MSWになりたいと思う理由は何でも構いません。
私も上述したように最初からMSWを目指して勉強したわけではありません。
何でもそうですが、なりたいものを志望するきっかけは何でも良いのです。
問題はそのきっかけで得たモチベーションを高めつつ、具現化できるまでの能力を身に付けられるかどうかということです。
学生生活では同じ志を持つ人と交流し、夢に向かって邁進してみて下さい。
いろんなことに挑戦して経験してみよう
私はもともとインドア派で自発的に外に出ることはほとんどありませんでした。
MSWになってから思ったのが、学生時代にいろいろなことを経験しておくべきだったということです。
実際の業務で関わる人は自分より年上の人ばかりで、それぞれの人生経験を持っています。
その中で培われる価値観はやはり人それぞれで、時として自身の価値観と相反することもあります。
しかし、MSWとして働くうえでは、たとえ自分と反する価値観を持っている人でも、それがその人であるということを認め、考えなくてはならない場面が頻発します。
そんな時、学生時代に様々なことを行った経験や、その時に思ったことなどが相手の価値観を「理解しようとする」ことの役に立ちます。
相手の価値観を完全に理解することは誰であってもできないことですが、頑張って価値観を理解しようとすることはできます。
そのことが、「自分のことを考えてくれている」という態度に現れ、患者からの信頼を得ることができるのです。
体験を通して得た知識や思いは、MSWとして働くうえでマイナスになることはありません。
勉強も大切ですが、学生時代には様々なことに挑戦してみましょう。
相手の気持ちを考える感性を磨こう
MSWとして働くうえで、相手の気持ちを考えることはとても重要なことです。
相手の気持ちを理解するには上記した経験も必要ですが、わずかな変化も見逃さない感性も大切です。
ちょっと前髪を切ったことにいち早く気づいてあげる、わずかな表情の変化や言葉から相手の感情を読み取るなど、日常の些細なことを逃さずにキャッチする癖を身に付けておきましょう。
そのうえで、相手が行ったことに対して自分がどう反応したらどんな答えが返ってくるのかを想像してみましょう。
あくまで対等な立場で相手のことを考え、その人に対して何ができるかを必死に考えることが求められるのです。
このことが理解できれば、MSWとしての感性はきっと磨かれるものと思います。
資格取得の勉強はしっかりと!現役合格を目指す!
MSWになるには上述したように社会福祉士や精神保健福祉士の資格がもはや必須となっています。
普通に単位をとり学校で勉強していれば、これらの国家資格の受験資格を得ることができます。
社会福祉士の資格は全国的に合格率が毎年20~30%と少なく、さらに合格者は現役で受験した人が大半を占めるという傾向にあります。
通常であれば学校卒業前に受験をすることになりますので、一発勝負と思い試験勉強は十分過ぎるほど行うことをオススメします。
MSWとしての就職活動のコツ
見学・実習する医療機関の機能を知る
最後に、MSWとして医療機関に就職するためのコツをお伝えします。
まずは自分が就職したい医療機関の機能を見学や実習を通して知ることです。
例えば病院と言っても、救急患者の対応をする急性期病院や長期療養が必要な方が入院する慢性期の病院など、それぞれで対象となる患者が変わっています。
そのため、MSWとしての役割も病院によって大きく異なり、そこには性格などで向き不向きも存在します。
一例として挙げるならば、急性期病院は患者の入退院のスピードが速いため、短期間で多くの患者と関わりを持たなければなりません。
限られた時間の中でスピード感のある対応を行いつつ、どの患者とも信頼関係を築いていくことを目指すのであれば、急性期病院を選ぶと良いでしょう。
逆に、慢性期の病院であればじっくりと患者と関わる時間が持てますが、長期間の入院ならではの問題が起こることもありますので、腰を据えてその人の生活問題を解決したいという人に向いていると言えます。
自分の性格がどうなのか、患者に対してどういった関わり方をしていきたいのかをよく考え、自分にあった病院を見学・実習してみることが大切です。
学校の先生や先輩などのコネは最大限活用する
MSWの業界は様々な関係機関との連絡・調整を必要とされますが、MSWだけに絞るとまだまだ狭い業界になります。
例えば学校の先生や卒業生が働いている・いた医療機関をコネを通じて見学や実習をすることも大切です。
実際、見学や実習を通して就職が決まった例も存在しますので、こういった関係はどんどん活用していきましょう。
就職後も連携を取るうえで重要な人間関係を築くことにつながります。
特に、いろいろと情報を得たいという思いで問い合わせを行うことは、受け手となる医療機関側としては行動的だという良いイメージを持ってもらうことにもつながりやすいです。
求人が出ていないか積極的に確認する
基本的に、MSWの求人はもともと働いていた人が辞めた場合の欠員補充という形で出されることが多いのが特徴です。
現場は即戦力を求める傾向にあるので、中途採用の求人は頻繁に出ているのですが、新卒となればなかなか求人が出ないのが現状です。
しかし、まったく求人が無いわけではないので、上記したコネや見学・実習を通して得た情報をもとに根気よく探してみましょう。
早いところは6月以降、遅い場合は2~3月に求人を出すところもありますので、最後まであきらめずに粘ってみるのも手です。
終わりに
いかがでしたでしょうか?
今回解説した内容をまとめると以下のようになります。
- MSWになるには福祉系の学校を卒業しなければならない
- 社会福祉士などの国家資格がほぼ必須となっている
- 学生時代に様々な経験をすることが良いMSWになるための第一歩
- 就職活動は様々なコネを活用し根気強く行う
今回の記事がMSWになりたいと思っている人のお役に立てれば幸いです。