もし身近な人が心臓病で介護を必要とした時、あなたはどうしますか?

心臓病は再発の危険性のある病気で、日ごろからの生活管理が重要となってきます。

特に、介護を必要とする人が心臓病になった場合は介護をする人が管理に気を配らないといけないことが多くなってきます。

今回は心臓病の人を介護する時の注意点や、医療面での管理について解説していきます。

目次

心臓病の管理の特徴

心臓病の特徴

心臓病(心疾患)は心不全や心筋梗塞、不整脈など心臓にまつわる様々な病気の総称です。

それぞれ症状や治療期間など異なりますが、心臓病は他の病気と比べてある特徴があります。

それは、病気が進行し死に至るまでに状態の悪化と回復を繰り返すというものです。

例えば骨折や脳梗塞などは病気を発症した直後に全身状態が一気に悪くなり、そこから治療やリハビリで回復するというのが一般的です。

また、がんの方は少しずつ状態は悪くなっているのですが最期が近づくまで比較的体力が保たれる人もいるのが特徴です。

一方、心不全の場合は大きな発作や状態悪化があった後、元の状態に近いぐらいにまで回復します。

しかし、その後また発作や状態悪化が起こり、1回目の時より悪い状態になります。

そこからまた回復しては発作を起こし、ということを何度も繰り返し、死に至るのです。

心臓病は管理がしにくい!?

心臓病の特徴で、状態が悪くなってもまた元に近い状態に回復するということを上述しました。

実はこの特徴が心臓病の管理をする妨げになることが多いのです。

例えば心不全の場合、状態が悪くなると体重増加や体のむくみ、息苦しさなどを感じます。

このような状態になるととても生活していられないほどのしんどさを感じるため、病院で治療を受けるようになります。

しかし、治療を行うと上記の症状は無くなることがほとんどなので、また元の生活を送ることができるようになります。

一見、状態が良くなっているので問題ないと思えますが、実はこのことが心不全を増悪させる原因となるのです。

なぜならば、病識に乏しい人は症状が無くなり今まで通りの生活ができると、心不全のために生活管理をしなければならないことを忘れてしまうことが多くなるのです。

例えば骨折や脳梗塞は痛みや後遺症のため、「二度と病気になりたくない」という強烈な印象を残します。

一方、心臓病の症状は少し動きすぎた時の症状と似ている部分があり、重大な病気としての印象が残りにくい側面があるのです。

本当は心不全を繰り返す度に着実に心臓は弱まっているにもかかわらず、自覚症状が無いために心臓に負担をかけることが増え、重篤化するという悪い流れに陥りやすいのです。

心臓病の人の介護と管理

では、実際に心臓病の人の介護や管理を行うのにはどうすればよいのでしょうか?

介護者も管理に気をつける

心臓病の人の介護を行う基本は、介護者も心臓病の管理に気をつけるということです。

よくありがちなのが、「心臓に負担がかかるから動かしてはいけない」という誤解です。

心臓に負担がかかって動いてはいけないのはかなりの重症者にこそありますが、軽度であれば動かなさすぎるとかえって心機能が低下する要因になってしまいます。

過度の負荷がかからない程度に適度に動くことも大切です。

このように、介護者が正しい知識をもって介護を行うことが大切です。

そのためには病気について知ることが必要であり、主治医とのコミュニケーションが重要となってきます。

特に、心臓病の管理は生活習慣にかかわる側面があり、患者1人では難しいことが多いのが特徴です。

介護者も管理に気をつけることで、病気の再発を防ぐことができるのです。

介護の環境を整える

心臓病の管理を行う上で、介護をする環境はとても重要になります。

必要以上の負荷がかかるような環境下では、手厚い介護を行ってもその効果が薄くなってしまいます。

以下のようなポイントが心臓病の人の介護を行ううえで一般的に環境調整が必要な項目になります。

  • 夏場は風通しの良い環境で暑さを軽減する
  • 冬場は適度な室温を保ち、各部屋の寒暖差を小さくする
  • 各動作の負担を軽減する(敷布団からベッドへの変更、階段に手すりを付けるなど)

バリアフリーな環境を心がけるだけでなく、気温の差も病態に影響する可能性があります。

厳密な管理までは必要ありませんが、適度な室温管理は重要と言えるでしょう。

食生活を改善し、内服をきちんと行う

生活習慣の管理に通じるものですが、食生活と内服管理は心臓病管理において重要なポイントになります。

主治医からの指示により内容は変わってきますが、よく制限がかかる部分は塩分を控えた食事をとることや、1日の水分摂取量が挙げられます。

塩分の摂りすぎは高血圧の原因と言われていることから、1日の摂取量が制限されることがあるのです。

また、水分の摂りすぎも血液量の増加につながり、心臓に負担がかかる遠因になります。

それぞれ摂取量の目安が示されることが多いので、それを守るようにしましょう。

また、内服薬は心臓の機能を保つ役割があります。

薬を飲むことで体調が劇的に良くなるものではなく、悪くなることを防ぐ意味があるのです。

「効き目がないからやめる」という考えを持たれている人も中にはいますが、風邪とは違い病気と生涯付き合っていかなければならないものですので、飲んでいることで健康が保たれているという意識を介護者側も持ちながら接すると良いでしょう。

介護保険や訪問看護を活用する

上記の管理を家族だけで行うのが難しい場合、公的なサービスを利用することも検討してみましょう。

介護保険が利用できる状況であれば住宅改修で環境調整を行うことができます。

ヘルパーなどで本人の負担を減らすことも考えられるでしょう。

また、訪問看護を利用することで日ごろの健康管理を手助けしてもらえます。

内服薬をきちんと飲めているか、急な体重増加や血圧の上昇などの異常が無いかの確認をしてもらえ、仮に状態が悪くなっていても早期発見により軽症で済むようになります。

介護保険のサービスではありませんが、配食サービスを利用することで栄養バランスのとれた食事ができるようにもなります。

様々なサービスを状況に応じて活用してみましょう。

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終わりに

心臓病の方の介護は気を付ける点がありますが、どれもポイントを踏まえた介護ができれば長く自宅で生活ができるようになります。

もし心臓病の管理のことで不安に思うことがあれば主治医や看護師に相談してみましょう。

また、サービスの利用や介護について悩んでいることがあれば、迷わずMSWへ相談してみましょう。

安心した在宅生活を送れるようになりましょう。