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高額療養費制度の多数該当についてご存知でしょうか?
長期の入院や通院で高額な支払いを続けている場合、支払いが安くなることがあります。
多数該当とはどういったものなのか解説していきます。
目次
高額療養費の多数該当とは?
上限額までの支払いを安心して続けられるための仕組み
高額療養費制度ではそれぞれの所得に応じた上限額が設けられています。
しかしながら、支払わなければならない金額は決して安い金額ではなく、毎月相応の負担が必要となってきます。
限度額適用認定証の提示ができていても、肝心の医療費支払いが継続できないと安心して治療を受けることができないのではないでしょうか。
そのような状況を少しでも軽減するために、高額療養費制度では多数該当というものが設けられています。
1年間に上限額までの支払いをした月が4回以上の方が対象
ではどういった方が対象になるのでしょうか?
保険診療を受けた月から遡って1年間の間に、高額療養費の上限額に達した支払いをした月が4回以上発生している場合、多数該当の適用となります。
つまり、過去3か月で上限額までの支払いと続けている場合、4か月目から多数該当の金額での支払いに変わるのです。
そして、「過去1年間」ですので、連続ではなく間が空いていても上限額までの支払いを行っていれば月数にカウントされます。
多数該当になった時の上限額
多数該当になった時の上限額は以下の通りです。
この金額は70歳未満の方が対象です。
所得区分 | 所得基準 | 自己負担限度額 | 多数該当 |
区分ア | ・標準報酬月額83万円以上の方 ・報酬月額81万円以上の方 |
252,600円+
(総医療費-842,000円)×1% |
140,100円 |
区分イ | ・標準報酬月額53万~79万円の方 ・報酬月額51万5千円以上~81万円未満の方 |
167,400円+
(総医療費-558,000円)×1% |
93,000円 |
区分ウ | ・標準報酬月額28万~50万円の方 ・報酬月額27万円以上~51万5千円未満の方 |
80,100円+
(総医療費-267,000円)×1% |
44,400円 |
区分エ | ・標準報酬月額26万円以下の方 ・報酬月額27万円未満の方 |
57,600円 | 44,400円 |
区分オ | ・被保険者が市区町村民税の非課税者等 | 35,400円 | 24,600円 |
上図で色をつけている部分が所得区分とそれに対応する多数該当の金額になります。
いずれの区分でも多数該当になれば支払額が少なくなることがわかります。
また、70歳以上の方であっても、現役並み・一般区分の方については多数該当が使え、金額は44,400円と設定されています。
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多数該当の具体例と注意点
多数該当の具体例
では多数該当になる場合の具体例を見ていきましょう。
以下の数字は月を表しており、赤色が高額該当月になります。
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12
例えば2年目の4月の場合、過去1年間で1年目の7月・9月・2年目の3月の3回が高額該当となっているため、4月は多数該当扱いになります。
一方、2年目の12月は2年目の3月・4月の2回だけしか該当していないことから、通常の高額療養費の上限額の支払いをすることになります。
多数該当の注意点
多数該当になる方は、医療機関で一旦通常の上限額の支払いをして、後から還付申請(払い戻し)をしなければならない場合がほとんどです。
例えば、1つの医療機関のみで高額該当している場合は、医療機関側が把握して便宜を図った時には多数該当での請求が出ることがあります。
しかし、通常は多数該当になっているかどうかは医療機関側はわからないことが多いのが現状です。
なぜならば、受診する患者が他院でどれくらいの支払いをしているかは把握していないからです。
そのため、多数該当基準での支払いのみにしたい場合は、患者側から多数該当になっていることを医療機関側へ伝えないといけないのです。
その場合には他院でどれだけ支払っているのかを示す書類(領収書等)があれば、客観的な証拠となり、交渉がうまくいく可能性があります。
逆に言えば、そういった書類がない限りは、病院側も「多数該当になるんだ!」と自己申告しても信用しないということです。
多数該当ではない人に多数該当の金額のみ支払ってもらうのは単純に赤字になってしまうばかりか、患者側も詐欺罪に問われる可能性もありますので、注意しましょう。
終わりに
多数該当になっている場合は高額療養費の自己負担額が安くなることがわかりました。
もし、自身の支払いが他院のものも含めて該当しているかどうかわからない、窓口で多数該当分のみの支払いで済ませたい、多数該当になっていることを知らずに余分に支払ってしまった、など困ることがあれば迷わずMSWへ相談してみて下さい。
多数該当になっているかどうかの整理や、還付申請についての案内など、状況に合わせた対応策を一緒に考えてくれます。
これまで支払ったお金、返ってくるかどうか一度確認してみてはいかがでしょうか?
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外来の医療事務をしています。日が浅いので高額療養費について勉強不足なもので教えていただきたいのですが。70才未満の患者様
30年1月限度額認定証区分エ
57600円
30年8月限度額認定証区分ウ
外来35000円入院50000円
30年9月80100円
30年10月80100円
患者様より10月は多数該当と質問があり確かに8月は入院外来と21000円超えているので10月は多数該当の対象にはなるかと思います。しかし、8月は御自身で高額療養費の申請をしていただいているので、病院的には10月は80100円お支払いしていただいて御自身で還付手続きを案内しました。しかし納得されず保険者に確認して欲しいと言われ確認して8月も高額療養費の対象になっていると確認ができたので、10月から多数該当に当てはめて患者様の会計を44400円にしなければいけないでしょうか。私が1つ気になっているのは8月入院外来合算して高額療養費の対象となっているので、外来ではそこを2回目としてカウントしないで10月は御自身で還付してもらい、11月から多数該当にするのが一般かと思っているのですが、保険者で8月が2回目という事が分かれば病院も確認してしまった以上10月から多数該当にしなければいけないのでしょうか。変な質問ですみません。
まーさん
コメントありがとうございます。
当ケースであれば8月に入院・外来の合算による高額療養費の還付申請を行っていたとしても、10月に多数該当になるという事実は変わらないので、10月からは多数該当での金額が自己負担限度額となります。
私の勤務する病院では多数該当であることが判明している時点で多数該当の方の自己負担額の請求を行っていますが、これは病院ごとで扱いが変わっている部分かと思われます。
もし、まーさんの勤務される病院が入院・外来の合算で高額に該当する月をカウントしないという方針であれば、患者さんに事情を説明して11月から多数該当という扱いで構わないと思いますが、患者さんの立場からすれば10月から多数該当扱いにしてもらった方が親切でしょう。
ただし、コメントをいただいた時点で11月となっているので、10月分まで遡って病院側が患者さんに還付するという選択は保険請求上難しいことも考えられます。
その場合は10月分は患者さんが保険者に還付申請をする必要がありますので、その説明を患者さんが納得いくように説明するのと、11月からは多数該当扱いで請求を行うことを伝える必要があるかと思います。
以上、簡単ではありますが私の見解となります。
お勤め先の部署内等でご検討いただき、対応されると良いと思います。
ありがとうございました。