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高額療養費制度は患者本人だけでなく世帯で合算できることをご存知でしょうか?
医療費の支払いは世帯全体の負担になることもあります。
世帯合算について知り、負担を軽くしていきましょう。
目次
高額療養費の世帯合算とは
世帯でかかった医療費を合算する
高額療養費の世帯合算とは、その名のとおり、高額療養費の計算を世帯全体で行うというものです。
医療費が発生する人が患者1人だけでなく、複数の世帯構成人に発生した場合、合算して計算することができるというものです。
高額な医療費の支払いをする人が家族の中で何人もいると、それだけで支払いをどうするか困ってしまうかと思います。
世帯合算とはそういった状況を考慮した仕組みとなっているのです。
同じ健康保険に加入している人のみ合算できる
ただし、世帯合算ができるのは同じ健康保険に加入している世帯構成人のみとなっています。
世帯構成人であっても健康保険が異なる世帯もあるかと思います。
私の世帯も事実、全員別々の健康保険に加入しています。
その場合は例え同じ世帯であったとしても合算することができないので注意しましょう。
年齢によって合算の方法や合算可能な金額が異なる
世帯合算が可能な金額は高額療養費の通常の合算の考え方と同じになります。
つまり、70歳未満の方は21,000円以上の支払いをしていないと合算することができません。
また、70歳以上の方は金額にかかわらず合算することが可能となっています。
ただし、70歳以上の方は世帯合算の計算方法が異なっており、内容も複雑なので具体例として後述します。
合算の計算をする時は年齢と支払い額の確認を忘れず行うようにしましょう。
合算した高額該当部分は還付申請をする必要がある
世帯合算では1ヶ月の間に世帯で発生した医療費をみるようになります。
そのため、一旦は各医療機関で限度額までの支払いを行い、後程還付申請を行う必要があります。
各自が支払った時にもらえる領収書は申請の時に必要となりますので、失くさないように大事に取っておきましょう。
世帯合算の具体例
では世帯合算についての具体例を見ながら、どういったものなのかを解説していきます。
70歳未満同士の世帯合算
・Aさん 国民健康保険加入(被保険者本人) 支払額50,000円
・Bさん 国民健康保険加入(Aさんの扶養家族) 支払額40,000円
世帯の所得区分がエ(57,600円)だった場合を仮定します。
Aさん・Bさんともに70歳未満の場合、支払い金額がそれぞれ21,000円を超えていれば合算可能です。
今回の場合、2人ともそれぞれ21,000円を超えた支払いをしていますので合算することができます。
そのため、AさんとBさんの支払い額の合計90,000円と限度額の57,600円の差である32,400円が還付申請をすることで返ってきます。
70歳以上の人を含む場合の世帯合算
・Cさん(74歳、2割負担) 支払額30,000円(外来) 総医療費150,000円
・Dさん(72歳、2割負担) 支払額80,000円(外来20,000円、総医療費100,000円・入院60,000円、総医療費300,000円)
・Eさん(51歳、3割負担) 支払額90,000円 総医療費300,000円
世帯の所得区分は一般世帯・区分ウ(80,100円+(総診療費ー267,000円)×1%)だった場合を仮定します。
70歳以上の人がいる場合の合算は少々複雑となっており、以下の順で計算をしていきます。
①70歳以上の人の外来の自己負担額を個人単位で計算する。
Cさんの外来の支払い30,000円ー外来上限額の14,000円=16,000円と、Dさんの外来の支払い20,000円ー外来上限額の14,000円=6,000円の計22,000円がまず還付されます。
②70歳以上の人の外来・入院両方の負担を合算する。
Cさんの外来上限額である14,000円に、Dさんの外来上限額14,000円と入院負担額60,000円を合計します。
計88,000円から世帯上限の57,600円を引いた金額=30,400円が還付されます。
③70歳未満の人が世帯にいる場合はさらに加えて合算する。
70歳以上の世帯上限である57,600円にEさんの9万円を加えると147,600円になります。
この147,600円からEさんの世帯上限額(80,100円+(世帯の総医療費850,000円-267,000円)×1%=85,930円)を引いた額=61,670円が還付されます。
つまり、この世帯は①と②と③で計算された金額の計114,070円が還付されることになるのです。
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世帯合算での還付申請方法と注意点
世帯合算での還付申請方法
世帯合算で還付申請を行う場合は、通常の還付申請と同様の書類を揃え、加入している健康保険の窓口へ申請するようになります。
- 健康保険証
- 印鑑
- 還付先がわかる書類(通帳等)
- 領収書
世帯合算での還付申請の注意点
世帯合算で還付申請をする場合、領収書は世帯全員分のものが必要となります。
また、通常の還付申請と同様、申請期間は診療月から数えて2年以内となっています。
申請できていないものがないかどうか確認してみましょう。
終わりに
世帯合算を活用することができれば、高額な支払いをしても最終的な負担が軽くなる可能性があります。
ただし、上記のように金額の計算方法が非常に複雑であることと、窓口では限度額までの支払いで済ませていることもあるので、実際に還付が受けられるかどうかということが非常に分かりにくい点になっているかと思います。
このような時こそ、迷った時にはMSWへ相談してみて下さい。
世帯全体の負担を少しでも軽くできるようにしていきましょう。
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