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70歳以上の医療費は高額療養費制度の金額より安い方が多いのをご存知でしょうか?
70歳未満のいわゆる現役世代の自己負担より、70歳以上の方の自己負担はその人の所得によりますが、安く設定されているのです。
現役世代の自己負担や手続きの方法がどう違うのかを見ていきましょう。
目次
70歳以上は医療費の負担額が異なる
70~74歳の方は高齢受給者証が発行される
70歳以上の方はその中でも年齢によって負担額が変わってきます。
70~74歳の人はもともと加入している健康保険から、健康保険証に加えて高齢受給者証というものが発行されるようになります。
高齢受給者証はいわば「この人は70歳以上ですよ~」という証明の紙と表現することができます。
医療機関を受診する時は健康保険証に加えてこの高齢受給者証を見せることで、はじめて70歳以上の自己負担で計算してもらえるようになるのです。
75歳以上の方は後期高齢者医療へ加入する
そして、75歳以上の方は全員後期高齢者医療へ加入するようになっています。
後期高齢者医療の健康保険証が75歳になると届き、医療機関を受診する時に保険証を提示することで後期高齢者医療の自己負担額での支払いが可能となるのです。
後期高齢者医療はそれまで加入していた健康保険とは異なる保険になりますので、健康保険料も当然変わってきます。
70歳以上の医療費の自己負担額は?
70~74歳の自己負担額
70~74歳の方の医療費自己負担額は以下の表のとおりです。
なお、この負担額は平成30年7月分までの金額であり、平成30年8月以降は新基準に変わりますのでお気を付けください。
適用区分 | 外来(個人ごと) | 入院・ひと月の上限額(世帯) | |
現役世代並み | 年収約370万円~ 標報28万円以上 課税所得145万円以上 |
57,600円 | 80,100円+(医療費-267,000)×1% |
一般 | 年収156万~約370万円 標報26万円以下 課税所得145万円未満等 |
14,000円 年間上限:14万4千円 |
57,600円 |
住民税非課税等 | Ⅱ 住民税非課税世帯 | 8,000円 | 24,600円 |
Ⅰ 住民税非課税世帯 (年金収入80万円以下など) |
15,000円 |
70歳未満と比べ、区分が4段階になりそれぞれの上限額も少なくなっています。
また、外来と入院で支払う上限額が設定されているのも特徴です。
低所得の方は年金収入によってさらに2段階の自己負担に分けられています。
75歳以上の自己負担額
75歳以上の後期高齢者医療に加入している人の自己負担額は、70~74歳の自己負担額と基準がまったく同じになっています。
負担額は70~74歳と同じで平成30年7月までの金額になります。
やはり、70歳未満の方より負担額は少なくなっています。
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70歳未満の人との違いは?
70歳未満の方と70歳以上の方は上限負担額が大きく異なることがわかりました。
では、その他の部分で違いはあるのでしょうか?
自己負担額の割合が異なる
70歳未満の方はかかった総医療費の3割が自己負担分になっていました。
これが70~74歳の場合は1~2割、75歳以上は1割負担になります。
ただし、現役並み所得の方は3割負担での支払いになります。
また、70~74歳の方は生年月日によって負担割合が以下のように異なっています。
- 平成26年4月1日以降に70歳に達する方(昭和19年4月2日生まれ以降)は、70歳に達する日に属する月の翌月以降の診療分から2割負担になる
- 平成26年3月31日以前に70歳に達した方(昭和14年4月2日~昭和19年4月1日生まれ)は、1割負担になる
限度額適用認定証の手続きは不要
70歳未満の方は高額療養費を適用するために限度額適用認定証の発行が必要でした。
しかし、70歳以上の人は限度額適用認定証の手続きが不要になっています。
つまり、高齢受給者証や後期高齢者医療の保険証を提示するだけで上限額までの支払いで済むようになっているのです。
ただし、手続きが必要な場合は一部残っています。
住民税が非課税の世帯の方です。
非課税であることを証明するため、限度額適用・標準負担額減額認定証を発行してもらう必要があるのです。
この限度額適用・標準負担額減額認定証は所得申告をきちんと行っていれば発行されますが、行っていない場合、低所得であっても発行されていない可能性があります。
あきらかに世帯の所得状況が非課税世帯に該当する場合で、この認定証を発行されていない場合は加入している健康保険の窓口へ相談に行く必要があります。
すべての保険診療による支払いが限度額の合算対象になる
70歳未満の方は支払った医療費を合算する場合に、入院・外来や複数の医療機関ごとで21,000円以上の支払いをしていないと合算の対象になりません。
しかし、70歳以上の方はすべての保険診療による支払いが限度額の合算対象になります。
21,000円に満たない支払いであっても、複数の医療機関での支払いを合計して限度額を超えていれば還付申請ができるのです。
多数該当の場合の負担額が異なる
70歳未満の方と70歳以上の方では多数該当になった場合の自己負担額が異なります。
70歳未満の方は所得に応じ5段階に分かれていますが、70歳以上の方は現役並み・一般区分の方については44,400円と設定されています。
非課税世帯は多数該当の条件に該当しても金額は変わりません。
終わりに
70歳未満の方と70歳以上の方の負担の違いは上記のように大きく異なっています。
特に、高齢の方は年金のみが収入の世帯が多いことから、医療費の負担がどうなるのか、支払い過ぎはないかといったところを確認するだけで経済的な負担が変わってきます。
もし不明な点があれば迷わずにMSWへ相談しましょう。
少しでも負担を軽くできる方法がないか、今一度確認してみてはいかがでしょうか?
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