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高額療養費制度について知っていますか?

病院で支払わないといけないお金には、個人ごとで差はありますが、実は上限額があるのです。

知っているのと知らないのとでは大きな差が出てきますので、どんな制度なのかわかりやすく解説していきます。

目次

医療費ってどうやって決まるの?

普段払っている医療費の内訳

私たちは普段、病気やケガで病院や診療所を受診した後にお金を支払います。

このお金は当然ながら医者の気分で金額を決めているのではなく、どんな治療をしたのかや、どんな検査をしたのかなどといった内容をあらかじめ点数で決めており、行った内容の点数を合計したものから計算されたものになります。

支払いを終えた後にもらえる領収書には金額だけでなく、何の項目で何点かかったかが書かれているので、もし手元に領収書があれば一度ご確認ください。

書いてある点数は1点=10円で計算するようになります。

ただし、ほとんどの方は書いてある点数の合計×10円の金額を支払っていないと思います。

なぜならば、皆さんが普段受診する時には必ず保険証を見せていると思います。

保険証を見せると、上記の金額の3割(年齢により1~2割の方もいます)の自己負担で済むようになり、残りの7割は普段支払っている健康保険料から病院へ支払われるようになっているのです。

払っているのは医療費だけ?

病院へ支払うのは上記のような医療費だけではありません。

入院を例にとってみると、入院中の食事代は必ずと言っていいほど発生します。

この食事代も所得によって1食あたりの値段が変わってくるものです。

また、差額ベッド代と言われるお金が発生する人もいます。

いわゆる個室へ入室した場合の費用のことですね。

この他にも入院中に使用した電気機器の料金(ユニット代や設備費等と呼ばれることが多いです)や、それに付随する消費税も挙げられます。

さらには、生命保険等の診断書作成を依頼した時の費用も支払いの対象になることがあります。

領収書には医療費以外に上記の支払い金の内訳も書かれているのです。

では、高額療養費制度は支払う金額のどの部分をみてくれるのでしょうか?

高額療養費制度って何?

医療費の上限額を決めるのが高額療養費制度

高額療養費制度の対象となるのは、支払う費用の中の医療費の部分のみになります。

たとえ3割の負担で済むと言っても、大きな手術を受けるとそれだけで膨大な点数が発生しますので、その分医療費が多くかかってしまいます。

高額療養費制度はこの負担額の上限を所得によってあらかじめ決め、上限額以上の支払いをしなくても済むようにする制度のことです。

この制度は健康保険に加入している人が金銭的な心配をせずに、安心して必要な医療を受けられるようにするための大事な制度になるのです。

高額療養費の負担額はどれくらい?

高額療養費での自己負担額は以下の表のように区分ア~オの5段階に分けられています。

ここでの金額は70歳未満の方が対象となっているのでご注意ください。

70歳以上の方は70~74歳と75歳以上で負担額が異なりますので、別の機会でお示しいたします。

 

所得区分 所得基準 自己負担限度額 多数該当
区分ア

・標準報酬月額83万円以上の方
・報酬月額81万円以上の方

252,600円+

(総医療費-842,000円)×1%

 140,100円
区分イ ・標準報酬月額53万~79万円の方
・報酬月額51万5千円以上~81万円未満の方
167,400円+

(総医療費-558,000円)×1%

93,000円
区分ウ ・標準報酬月額28万~50万円の方
・報酬月額27万円以上~51万5千円未満の方
80,100円+

(総医療費-267,000円)×1%

44,400円
区分エ ・標準報酬月額26万円以下の方
・報酬月額27万円未満の方
57,600円 44,400円
区分オ ・被保険者が市区町村民税の非課税者等 35,400円 24,600円

区分ア~ウの人は、自己負担限度額に書いてある医療費計算式に基づいた金額を支払うことになります。

ここでいう総医療費とは、領収書に書かれている点数の合計×10円のことを指します。

例えば、区分ウの人が総診療費100万円の治療を受けた場合、高額療養費なしの場合は3割負担ですので30万円の支払いをしなければなりません。

しかし、高額療養費に当てはめると、80,100円+(1,000,000円ー267,000円)×1%=87,430円が支払う上限の金額になるのです。

そして、この自己負担上限額に達した支払いが続いた場合、多数該当という状況になり、さらに上限額が下がり支払いが安く済むようになるのです。

また、条件付きではありますが、入院や外来、さらには複数の医療機関での支払いも合計して計算することもできます。

 

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高額療養費制度の使い方と注意点

限度額適用認定証の申請をしよう

上記のように、高額療養費制度を利用すれば医療費の自己負担額がかなり抑えられるようになります。

そのためには、自らの所得区分を示す限度額適用認定証の申請をする必要があります。

限度額適用認定証は各自が加入している健康保険の窓口で申請することができます。

おおむね申請から1週間以内に手元へ届く場合がほとんどですので、認定証を必要とする場合は早めに申請されることをオススメします。

入手した認定証はかかっている医療機関へ保険証と一緒に提示することで、はじめて自己負担限度額までに抑えられた請求が来るようになるのです。

高額療養費制度の注意点

ただし、高額療養費制度はいくつかの注意点があります。

限度額適用認定証の申請に関する項目もありますので、事前によくご確認下さい。

 

  • 対象となるのは医療費のみ

上述しましたが、高額療養費制度の対象となるのは医療費のみです。

入院中の食事代や差額ベッド代など、医療費以外の自己負担金については対象外となりますので、注意しましょう。

 

  • 医療費上限額は暦の月毎での計算になる

上述した上限額は1ヶ月に支払う上限の金額になります。

ここでいう1ヶ月は受診日からや入院日からでの計算ではなく、暦の月毎での1ヶ月になります。

つまり、1/1~1/31まで入院された人と、1/30~1/31まで入院された人でも、自己負担上限額までの支払いが必要な治療を受けた場合、入院日数に差があっても自己負担額は同じということも起こるのです。

また、月をまたいだ入院の場合、月毎での計算になりますので、仮に1/31~2/1の入院期間であった場合、1月分の医療費と2月分の医療費が両方退院時に発生することになるのです。

 

  • 保険料の滞納があると限度額適用認定証は発行されない

限度額適用認定証は健康保険料をきちんと支払えている人にだけ発行されます。

未納の部分がある場合、原則として認定証は保険料を完納しない限り発行されません。

限度額適用認定証が発行できない場合でも高額療養費制度の利用は可能ですが、一旦上限額を超えた金額で支払いを終えた後に、超えた部分の払い戻しの手続きを行う必要があります。

一時的に支払わなくても良いお金を支払わなければならず、負担が大きくなりますので、日ごろから健康保険料をきちんと納めるようにしましょう。

 

  • 月をまたいだ申請は適用されない可能性がある

例えば入院の場合、前月中に限度額適用認定証の提示ができなかった場合、前月分の医療費は限度額適用認定証の適用にならない額での請求が出ることがあります。

この場合でも一旦上限額を超えた金額で支払いを終えた後に、超えた部分の払い戻しの手続きが可能ですが、やはり一時的な負担が大きくなってしまいます。

月末入院の場合は認定証の発行が間に合わないこともありますので、申請は必ず早めに行うことと、間に合わない場合は医療機関へ相談しましょう。

終わりに

高額療養費制度は医療費の支払いを少なくすることができる制度です。

その分、利用にあたって必要な手続きや注意点があり、1つ間違うと負担が大きくなってしまう可能性もあります。

もし利用について困ること・迷うことがあれば、遠慮せずにMSWへ相談しましょう。

場合によっては申請を代行してもらうこともできますので、上手に活用しましょう。

 

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