手術に対するお礼金は必ず医者に出さないといけないものなのでしょうか?

患者の治療が大きな手術になるほど、身内の人間にとっては無事成功してほしいと願うものです。

大きな役目を担う医者への期待度も高まりますが、過去より医者に対して患者側が渡されているのがお礼金です。

このお礼金は必ずしも医者に出さなくても良いことをご存知でしょうか?

今回は手術に対するお礼金について、最近の傾向を踏まえて解説していきます。

目次

お礼金は必要なこと?

お礼金は古くから日本の中で暗黙の内に習慣付いたもので、病院においては治療を行った医者への感謝の意を込めたものになります。

医者の治療によって快復したことへの喜びや感謝をわかりやすく表現する方法が、現金を渡すという行為に当たるのです。

しかしながら、それぞれの家庭における経済状況は異なっており、お礼金を渡せる人もいれば渡せない人もいるのが事実です。

また、お礼金の金額もどれくらい渡せばよいのかわからない人もいるのではないでしょうか?

「〇〇さんのところはこれくらい包んで渡したそうだけど、ウチにはそんな大金無いし・・・」

と悩む前に、まずはお礼金が本当に必要なものなのかどうかについて見ていくことにしましょう。

お礼金の呼び方

そもそも、お礼金という名目で医者に渡す時にストレートに「お金をあげます」とは言わないものです。

よくあるのが「お礼」「お心付け」という名前で、現金を包んで渡すことが多いです。

「お礼」については治療に対するお礼です、というわかりやすい表現となっています。

また、「お心付け」はさらに自分の気持ちを渡すという奥ゆかしさを持たせる表現になってますね。

古くから感謝の気持ちを伝える、日本人ならではの風習と呼べるものと言えます。

お礼金を出すべきかとその理由

さて、そのお礼金ですが、結論から言うと一切出す必要はありません。

大規模の病院では「お心付けは固くお断りします」という案内が出ているほどで、病院として受け取りを拒否しているところが増えているのです。

特に、公立の病院に勤めている医者は公務員扱いとされているため、患者側から何かしらのお礼をもらうこと自体禁止をされています。

代わりに、患者側は治療費として病院へ退院時に支払いを行うので、余計にお金を支払う必要性が無いのです。

そもそも、医者も病院側から正規の給料を支給されているので、お礼金をもらう必要がありません。

また、お礼金の有無によって手術の成否を変えてしまうことは生命倫理の観点からしてもあってはならないことだからです。

病院に来た患者の病気に対して真摯に向き合い、可能な限り治療を行うことが医者としての役割ですので、そのことについて病院側がきちんと対価を払っている以上、患者側がお礼金を準備する必要は一切ありません。

「お礼金が出せなくて困った・・・」

という悩みは一切不要である、ということですね。

お礼金を出したい時はどうする?

上記のように、お礼金を準備する必要は一切無いのですが、それでも治療を行ってくれた医者への感謝の気持ちとして渡したい!という方も中にはいらっしゃるかもしれません。

そのような時にはどのようにすればよいのでしょうか?

お礼の相場

これまで述べてきたように、お礼金を準備しても医者側は基本的に受け取りを拒否します。

お礼金を受け取ってしまうことで、

「あの医者はお礼金が無いと手術をきちんとしないらしい・・・」

などと、あらぬ疑いや嫌な噂を立てられる危険性があるからです。

菓子折などを持っていく人もいますが、これも受け取り側としてはもらったものをどうするか困ってしまうのでオススメしません。

 

そのため、患者側が感謝の気持ちを形として伝えたいのであれば、現金や高価な物以外の方法で準備する必要があります。

基本的には、お礼にお金をかける必要は一切無く、形として渡したいのであれば自身の思いを綴った手紙を書くことをオススメします。

現金や高価な物で気持ちを表現するのではなく、言葉や文章で伝えるのが一番大切なことです。

お礼の渡し方

お礼の手紙を渡す時は基本的に大勢の人がいる前を避けた方が良いです。

手紙は封筒や便箋に入れて渡しますが、中身に手紙が入っているかどうかは見た目でわからないので、人によっては現金が入っていると勘違いされる可能性もあります。

 

手紙の渡し方は、退院の時に病棟で顔の分かる他のスタッフがいるところで、

「感謝の気持ちを書いた手紙です」

と言って直接医師に手渡すのが良い方法です。

1対1だと受け取りを拒否する医師もいますが、看護師が近くにいると手紙であれば受け取りを断りにくくなります。

どうしてもお礼金を渡したい時は・・・

例えば手術をしてくれた医師にどうしてもお礼金を渡したいという人も中にはいらっしゃるかもしれません。

しかしながら、上記のようにお礼金を受け取ることは原則として、やっていないことです。

 

このような時、医療機関によってはお礼金を病院への寄付扱いで受け取っているところもあります。

この方法であれば、お礼金を病院の機材等に役立てることができるため、患者側は感謝の気持ちを渡すことができ、病院側ももらったお金を公表し正しく活用できるというものです。

そのためには事前に手術を受ける医療機関に寄付を受け付けているか確認しておく必要があります。

お礼金を求めてくる医者への対応

よくドラマでは、

「手術が成功するにはご家族の気持ちを見せてくれないと・・・」

などと言ってお礼金を暗に求めるシーンが流れることがあります。

過去にはそのようなことがあったのかもしれませんが、現在においては当然御法度な内容です。

 

しかし、個人が経営している病院ではそのようにお礼金を求めるような病院が存在しているとの噂もあります。

もし、手術を控える患者・家族の立場となった時に医者がお礼金を求めるような対応したとしたら、どうすればよいでしょうか?

答えは【払わなくてよい】です。

 

上記のようにお礼金の有無で手術の成否を決めることは生命倫理に反することですので、相手にしないのが一番です。

個人の病院であれば信頼できる別の病院へかかることをオススメしますし、大きな規模の病院であれば何かしらの相談の窓口が設けられていますので、そこへ申し出ましょう。

ですが、実際はこのようにお礼金を医者が求めることはまずあり得ませんので、安心して治療を受けましょう。

お礼金に関する意見を紹介!

さて、実際には手術に対するお礼金について、皆さんはどのように考えられているのでしょうか?

いくつか例を取り上げてみましょう。

お礼金を渡すことが過去から続いている風習なのか、はたまた礼儀なのかについて尋ねていますね。

お礼金については過去からの風習という面が強いのですが、現在はそれも禁止するところが増えてきているので、今後ますます風化されていくことでしょう。

むしろ、医者への礼儀と捉える人の方が増えてきそうですが、上述したように感謝の気持ちは手紙で伝えることができるので、わざわざお金にして渡す必要はありません。

巷ではまだお礼金を受け取る医者が存在しているようですね。

医者も人間ですので、お金を見せられるとつい心が動いてしまいがちになりますが、強いプロ意識で断ってほしいものです。

繰り返しになりますが、いくらお金を積んでも手術の成否は変わりませんし、そのことで成否が変わるのであればその医者を信用してはいけません。

また、患者側もお礼金を準備しないといけないという固定概念を変えていかなければなりませんね。

 

他にもありますが、以上のように、お礼金については渡すべきか悩んでいたり、渡すこと自体に疑問を抱いている意見が大半を占めていました。

古くからある風習が必ずしも良いものばかりではないことを認識していかなければなりません。

終わりに

今回は手術に対するお礼金について解説してきました。

今回お伝えした内容をまとめると以下のようになります。

  • お礼金は医者に渡す必要はありません。
  • どうしても渡したい場合は手紙にするか病院への寄付を行いましょう。
  • お礼金を暗に求められたら病院の相談窓口へ報告を!

病院は患者の病気に対する治療を行う場所であり、医者はその専門家です。

治療は医者の仕事ですので、その対価は病院がきちんと支払っています。

患者側は感謝の気持ちだけ伝えれば大丈夫なので、お礼金は準備しなくても大丈夫です。

プロとしての矜持をもって日々医者は頑張っていますので、「ありがとう」の言葉だけもらえれば十分です。