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脳卒中の人でも療養型病院へ転院される方がいるのをご存知でしょうか?

長期間の入院が可能な療養型病院へはどのような人が対象になるのでしょうか。

今回は脳卒中の人と療養型病院の関係や特徴について解説していきます。

目次

脳卒中と療養型病院

回復の見込みが厳しい脳卒中の人の療養先

脳卒中になった人は発症後に急性期病院で治療を受けます。

そして、緊急の状態を脱し、自宅退院が可能なまでに回復した人は直接自宅退院、継続した専門的リハビリが必要な人は回復期リハビリテーション病院へ転院することが多いです。

しかし、脳卒中の状態が悪く、意識の状態が戻らなかったり、重度の後遺症でリハビリの効果も望めないような人も中にはいます。

回復の見通しも立ちにくく、自宅での介護も難しい・・・。

さらには自宅では難しそうな医療行為も必要・・・。

そんな人が安心して療養できる場所が療養型病棟のある病院です。

療養型病棟と介護施設の違い

療養型病棟のある病院と同じように、自宅での介護が難しい人が過ごす場所として介護施設も挙げられます。

療養型病棟での入院と介護施設の入所は以下の点で違いがあります。

  • 医療保険を使うか、介護保険を使うか

療養型病棟での入院は当然入院ですので、医療保険を使った入院になります。

一方、介護施設への入所は介護保険を使うことがほとんどです。

  • 療養に必要な費用が異なる

医療保険と介護保険では支払わなければならない費用負担が異なっています。

また、入院の場合は医療費については所得や年齢による違いはあっても、基本的にどの病院へ入院しても変わらないのが特徴です。

一方、介護施設への入所の場合は入所する施設によって費用が大きく異なっています。

場合によっては入院費と比較して毎月倍以上の負担をすることもあります。

  • 医療を提供するかどうか

そして一番当たり前のことですが、医療を受けることができるかどうかが違いとして挙げられます。

介護施設でも提携する医療機関がある場合は往診を受けられるところもありますが、基本的に病院ほどの医療は受けられないのが特徴です。

療養型病棟とは

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では療養型病棟とは具体的にどのような病棟なのでしょうか?

医療区分2・3に該当する人が対象

療養型病棟へは医療区分2か3の人が入院の対象になっています。

この医療区分とは、療養型病棟へ入院するための基準となっているもので、疾患や必要な医療処置によって区分があらかじめ設定されているのです。

医療区分3 【疾患・状態】
・スモン ・医師及び看護師により、常時監視・管理を実施している状態【医療処置】
・24時間持続点滴 ・中心静脈栄養 ・人工呼吸器使用 ・ドレーン法 ・胸腹腔洗浄
・発熱を伴う場合の気管切開、気管内挿管 ・感染隔離室における管理
・酸素療法(酸素を必要とする状態かを毎月確認)
医療区分2 【疾患・状態】
・筋ジストロフィー ・多発性硬化症 ・筋萎縮性側索硬化症 ・パーキンソン病関連疾患
・その他の難病(スモンを除く)
・脊髄損傷(頸髄損傷) ・慢性閉塞性肺疾(COPD)
・疼痛コントロールが必要な悪性腫瘍 ・肺炎 ・尿路感染症
・リハビリテーションが必要な疾患が発症してから30日以内 ・脱水かつ発熱を伴う状態
・体内出血 ・頻回の嘔吐かつ発熱を伴う状態 ・褥瘡 ・末梢循環障害による下肢末端開放創
・せん妄 ・うつ状態 ・暴行が毎日みられる状態(原因・治療方針を医師を含め検討)【医療処置】
・透析 ・発熱又は嘔吐を伴う場合の経腸栄養 ・喀痰吸引(1日8回以上)
・気管切開・気管内挿管のケア ・頻回の血糖検査
・創傷(皮膚潰瘍 ・手術創 ・創傷処置)
医療区分1 医療区分2・3に該当しない人

上の表が医療区分を表したものです。

そして、赤字で示しているものが脳卒中の方で該当する可能性がある項目になります。

脳卒中の場合は疾患や状態では該当にならず、必要な医療処置の点で該当になるかどうかを見るようになります。

入院期間は病院によって異なる

療養型病棟の入院期間は、原則として医療区分2・3に該当している状態である限り入院継続が可能となります。

しかし、病院によっては区分に該当していたとしても、入院期間をあらかじめ区切る病院もあります。

病院側の事情にはなりますが、マンパワー不足で医療区分に該当になっていても受け入れができなかったり、入院期間を区切られることもあるので、転院の際にはよく確認しておくようにしましょう。

積極的な治療やリハビリが制限される

療養型病棟は急性期病院とは異なり、積極的な治療やリハビリが制限されます。

これは急性期病院と療養型病棟で使うことができる医療費が異なっているからです。

現在の診療報酬(病院側への収入)はDPC(診断群分類包括評価)と呼ばれる、病院での診療で発生する費用の計算方法の仕組みにより、主となる疾患の治療に対する入院基本料、投薬、注射、検査、画像診断、病理診断、一般的な処置はあらかじめ報酬が決まっている包括払いになっています。

そして急性期病院はこれに加え、手術、麻酔、放射線治療、特別な検査、高額な処置、リハビリテーション、精神科専門療法などの出来高部分を上乗せすることができます。

一方、療養型病院は上記の出来高部分のような治療を行うことを目的としていないので、包括払いの部分のみで病院経営をしなければなりません。

そのため、高額な薬の処方や過度なリハビリテーションなどを行うとすべて包括払いの部分から捻出しないといけなくなるので、病院経営が成り立たなくなってしまうのです。

以上のことから、急性期病院で行っていた治療やリハビリが療養型病棟へ移るとできなくなったり、回数が制限されるようになるのです。

療養型病棟への転院のポイント

では療養型病棟へ転院する場合にどのようなことを抑える必要があるのでしょうか?

病状と転院先でできることを理解する

まずは現在の病状についてきちんと理解しておく必要があります。

療養型病棟では医療やリハビリが限られますので、長期間の療養でこれ以上身体機能を悪くしないことが重要な慢性期の状態であることを理解しましょう。

特に、リハビリの回数は急性期病院に比べかなり減りますので、その差にギャップを感じやすいのでお気を付け下さい。

医療区分の面でも、療養型病棟への転院が可能な状態かどうかを主治医などに確認しましょう。

病状によっては療養型病棟からの転院もあり得る

療養型病棟へ入院となっても、医療区分に該当しなくなった場合は転院や施設入所をすすめられることがあります。

特に脳卒中で転院する場合は医療処置が不要になると上記のような状態になる可能性があります。

よくあるのが酸素療法や喀痰吸引の項目に該当しなくなることです。

状態がさらに安定し、酸素療法を必要としなくなったり、痰の量が減り1日の吸引回数が8回未満になったりすることもあります。

その場合はその病院にいるMSW=医療ソーシャルワーカー今後の療養先について相談しましょう。

病院探しはMSWへ相談!

療養型病院は長期間入院することになるため、患者を支える家族としてはなるべく通うのに負担が少ない場所を選ぶことをオススメします。

例えば自宅や親族宅の近く、通勤路の道中などが候補です。

そして、病院の環境のことなどについては入院している病院にいるMSWへ相談してみて下さい。

MSWは転院調整だけでなく、病院の情報を教えてくれたり、事前に見学に行く調整もしてくれます。

わからないことがあればいろいろと尋ねてみましょう。

終わりに

療養型病院は脳卒中だけでなく、医療区分に該当する人が入院されます。

もし患者の状態が療養型病棟の対象になるのかなどわからないことがあれば、迷わずMSWへ相談してみて下さい。

安心して療養できる環境を、スタッフと相談しながら探していきましょう。

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