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脳卒中になった人の転院先についてご存知ですか?

本人の状態によって転院先は変わりますが、主に回復期リハビリテーション病棟のある病院へ転院される方が多いのが特徴です。

今回は回復期リハビリテーション病棟がどんなところなのかについて解説していきたいと思います。

目次

脳卒中の人の転院先

脳卒中発症後は急性期病院へ搬送される

ある日突然脳卒中を発症し病院へ・・・。

脳卒中発症直後に必要な治療は急性期病院で行われます。

急性期病院とは、重篤な病気の発症直後=急性期の治療を専門に行う病院のことです。

また、一般の病院では担えないような高度な治療や専門的な医療を必要とする状態の人も対象になっています。

急性期病院での治療により、危険な身体状況を脱した人は大半が自宅退院し、地元のかかりつけ医に戻って継続した治療を受けるようになります。

しかし、中には脳卒中のように後遺症のためリハビリを必要とする方もいます。

リハビリが必要な脳卒中患者は転院することが多い

急性期病院でも治療開始と同じ時期にリハビリが開始されることが多いです。

これは病気によって失われた身体機能の回復を目的とするだけでなく、体を動かさないことによる身体機能の低下=廃用症候群を予防する意味合いもあります。

急性期病院での脳卒中治療の中でリハビリがすすみ、自宅退院できるくらい回復できれば問題ないのですが、脳卒中の程度によっては月単位でのリハビリ期間を要することがあります。

この場合、急性期病院でリハビリを続けられれば良いのですが、実際はリハビリが必要な状態であればリハビリを専門的に行ってくれる病院への転院をすすめられることが多いのが現状です。

なぜならば、急性期病院へは他にも重篤な患者がどんどん入院してくるため、治療が終了し急性期を脱した患者には退院を促進し、次の治療が必要な患者の受け入れをしないといけない義務があるのです。

これがうまくいかないと、救命できる可能性のある人の受け入れができずに亡くなってしまうという最悪の結果が待っているのです。

いわば、他の患者と持ちつ持たれつの関係性であるということです。

そのため、脳卒中のようにある程度リハビリ期間が必要な患者にはリハビリを専門で行ってくれる病院があります。

それが、回復期リハビリテーション病棟のある病院になります。

 

回復期リハビリテーション病棟とは

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急性期を脱した方の回復に向けた専門的リハビリを提供

回復期リハビリテーション病棟とは、急性期を脱し、身体機能を回復させる時期=回復期におけるリハビリが特に重要な人が対象になっている入院病棟のことです。

医療スタッフ間では“回リハ”と略して呼ぶこともあります。

この回復期リハビリテーション病棟では、急性期病院で行われたリハビリを継続しつつ、患者本人の能力に合わせた専門的リハビリを行うのが特徴です。

そして、急性期病院でのリハビリとの違いは以下の点になります。

最大入院期間が決められている

疾    患 発症から入院
までの期間
病棟に入院
できる期間
脳血管疾患、脊髄損傷、頭部外傷、くも膜下出血のシャント手術後、脳腫瘍、脳炎、急性脳症、脊髄炎、多発性神経炎、多発性硬化症、腕神経叢損傷等の発症又は手術後、義肢装着訓練を要する状態  2ヶ月以内 150日
高次脳機能障害を伴った重症脳血管障害、重度の頚髄損傷及び頭部外傷を含む多部位外傷 180日
大腿骨、骨盤、脊椎、股関節もしくは膝関節の骨折又は二肢以上の多発骨折の発症後又は手術後の状態 2ヶ月以内 90日
外科手術又は肺炎等の治療時の安静により廃用症候群を有しており、手術後または発症後の状態 2ヶ月以内 90日
大腿骨、骨盤、脊椎、股関節又は膝関節の神経、筋又は靱帯損傷後の状態 1ヶ月以内 60日
股関節又は膝関節の置換術後の状態 1ヶ月以内 90日

回復期リハビリテーション病棟では疾患ごとに入院できる最大の期間が決められています。

脳卒中の場合は上表の着色している部分(1番)に該当し、おおむね5~6ヶ月以内とされています。

しかし、この5~6ヶ月は入院する方全員が必ずその期間入院できることを保障するものではありません。

以下のような状態の人は入院期間内であっても退院の話が出るようになります。

  1. 病状が回復し退院可能となった
  2. 状態が悪化し急性期病院での治療が必要となった
  3. リハビリを行っても身体機能の回復が望めなくなった

1の場合は回復して退院するということなので問題はないかと思います。

また、2の場合は病状悪化のため急性期病院へ転院になる可能性が高く、治療や救命が優先されるようになります。

問題は3の場合で、入院される方は「まだ回復していない」と思っていても次の療養先を探さないといけなくなってしまいます。

医学的に機能回復が望める回復期でのリハビリが終了し、身体機能の維持を目標にする慢性期になった場合は、慢性期の療養をどうするかという話になってくるのです。

1日にできるリハビリの時間数が異なる

急性期病院でのリハビリはどんなにリハビリが必要な方でも、セラピストが介入してできる1日の時間数が最大2時間までと法制度上定められています。

しかし、回復期リハビリテーション病棟では、本人の状態にもよりますが、最大で1日3時間までのリハビリを行うことが可能となっています。

また、力を入れている病院は365日リハビリを受けることができるため、週末はリハビリが休みになることが多い急性期病院に比べ機能回復が望めるような環境になっているのです。

多くの医療スタッフがチームで介入してくれる

回復期におけるリハビリはいわばその人の今後の生活を左右する大切なものになります。

脳卒中の場合、発症から半年間がもっともリハビリの効果が現れるという回復期であると言われています。

この大切な時期に濃密なリハビリを受けられるよう、医師・看護師・リハビリスタッフ(理学療法士・作業療法士・言語聴覚士)をはじめ、栄養士や薬剤師、MSWなど多くの職種がチームでサポートをしてくれます。

まさに、回復に向けた環境が整っている病棟であると言えるでしょう。

回リハへ転院するには?

 

主治医と相談し転院希望を伝える

では回リハ病棟のある病院へ転院するにはどうすれば良いのでしょうか?

まずは病状的に転院が必要な状態かどうかを主治医と相談しましょう。

リハビリによる回復が見込めるのかどうかをよく聞き、転院が望ましいと判断されれば病院側から転院相談を行うようになります。

その際、希望の病院などについて医療ソーシャルワーカー=MSWと面談することになるでしょう。

MSWとの面談時にはリハビリによる回復見込みや入院前の生活状況を勘案し、最適な病院を紹介してくれます。

そして、希望の病院の受け入れ許可が下り、病室に空きがあれば晴れて転院となるのです。

回リハ病院への転院に関する注意点

回復期リハビリテーション病棟への転院には注意点があります。

まず、回リハ病棟は上記した入院期間の表に記載されている病状のいずれかでないと入院することができません。

脳卒中の場合は病名が該当しないことはほぼ無いのですが、他の病気で回リハ病院への転院を希望する場合は注意しましょう。

また、病気の発症や病気に対しての手術(全身麻酔レベル)を行った日から、各疾患ごとで定められた期間内でないと転院することができないことになっています。

例えば、ある1つの回リハ病院への転院を行っていても、空きの目途が期間内に立たなかった場合はその病院への転院を断念しないといけないことになるのです。

せっかく回復が見込めるチャンスを棒に振ってしまうのはとてももったいないことですので、病院の希望を決める時には複数の病院を優先順位をつけることをオススメします。

終わりに

回復期リハビリテーション病棟は脳卒中後の身体状況を改善できる可能性をもった病棟になります。

脳卒中後の回復に向けた大事な時期に頑張ってリハビリをすることで、その後の生活は劇的に変わってきます。

もし回リハ病棟への転院など相談したいことがあれば、迷わずMSWへ尋ねてみて下さい。

病気の回復に向けて良い環境で療養できるようにしましょう。

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