MSWは男性が少ない職業だということをご存知でしょうか?
かく言う私は男性なのですが・・・(^^;)
しかし、全体の数を見ると、MSWは女性の割合が男性より多い職業なのです。
実は、男性であることでこういう職業ならではの利点やエピソードがあることは、あまり知られていません。
そこで今回は、MSWに男性が少ない理由と、男性だからこその利点やエピソードを私自らの体験談を交えながらご紹介したいと思います。
目次
MSWに男性が少ない理由とは
早速ですが、なぜMSWに男性が少ないのでしょうか?
現在、私が勤めている病院に所属するMSWは、なんと私以外全員女性です。
そう、私は紅一点ならぬ“黒一点”の存在なのです(笑)
しかし、これは私の職場に限らず、多くの病院で同じような状況下で男性が働いているのです。
中にはMSWが女性だけの病院も普通に存在するくらいで、男性のMSWがいると珍しがられる、なんて地域もあるほどです。
そこで、まずは男性MSWが少ない理由を解説し、これから先に紹介する利点やエピソードをよりイメージできるようにしたいと思います。
福祉系学校の学生比率は女性が多い!
現在、MSWとして現場で働いている人のほぼ全員が、何らかの福祉系学校を卒業しています。
必須資格とまで言われている社会福祉士や精神保健福祉士の受験資格の1つに「福祉系の学校を卒業すること」が含まれているからです。
→MSWは資格が無くても働ける?社会福祉士や精神保健福祉士は必須?
私も福祉系の大学を卒業し、社会福祉士の国家資格を取得して現在の職に就いています。
この福祉系学校ですが、実は圧倒的に女性の比率が多いのが特徴です。
私が通っていた大学の福祉系の学科は男女比が男1:女6という、まさに女の花園とも言えるような環境でした。
今でも、女性だらけの環境の中でよく頑張ったなぁ・・・と思うことがあります(笑)
話が逸れてしまいましたが・・・、この福祉系学校に入学した人全員がもちろんMSWになるわけではありません。
高齢者や障害者、児童など様々な分野で福祉の仕事をするための勉強を行う場ですので、それぞれ希望の進路は異なります。
その中でMSWを目指そうとする人は、やはりそれぞれの分野に希望が分散すればごく少数となります。
もともと男性の比率は少ない中でさらにMSWを目指そうとする人が少ないとなれば、当然男性MSWの比率は少なくなる、ということです。
就職してから長続きしない人が多い
晴れてMSWとして就職した男性であっても、新卒から定年まで生涯MSWとして働いている人は全体から見るとかなり少ないです。
これはMSWという職種自体、新卒より中途採用で就職する人が多い傾向があるからです。
巷に出ているMSWの求人情報は新卒募集のものが少なく、即戦力となる中途採用を求めるものが多いです。
また、中途で採用される人は前職が福祉系の職業である人が多いのですが、他の医療機関でMSWをしていた人より、介護職やケアマネジャーをしていた人がMSWに転職する場合が多いのです。
逆に、中途採用された男性の場合、その医療機関におけるMSWの所属部署のトップになれる可能性があります。
“男女平等”という考えが世に広まって久しいですが、まだまだこういった組織の考えとしては男性をトップに起きたがっているのもまた現状です。
つまり、男性MSWがいる医療機関は男性が部署のトップとして存在し、その他のMSWはほとんど女性という状況のところが多いのです。
そのため、出世を気にする男性MSWは部署のトップに男性がいる場合、出世ができないと思って男性のいない医療機関へ転職する、なんてこともあるのです。
給料がまだまだ低い!
これは福祉職すべてに共通することですが、福祉関係の仕事は総じて給料が低いのが現状です。
人材不足と言われ、今後の少子高齢化社会への対策として必要とまで言われている「給料問題」ですが、MSWも例外ではありません。
一般企業に勤める同年代の男性に比べ、MSWとして勤務しもらえる収入はどうしても少ないのが現状です。
特に、年数を重ねても病院によっては昇給がほとんどないため、収入への不満から転職を考える人もいるくらいです。
MSWとして勤めるには給料だけでなく、仕事にかける情熱などが無いと長続きしないと言われているのも、この面が大きいと考えられます。
男性MSWの利点とエピソード
以上、3点が男性MSWが少ないと言われる理由になります。
そんな中、日々MSWとして孤軍奮闘する男性にも、MSWとしての利点や、男性ならではのエピソードがあります。
私自身が体験したことも紹介していきますので、少しでもMSWについて知ってもらえる機会になればと思います。
男性MSWの利点
職場環境上、女性と会話することが多い
「出会いが無い」という男性にとって、MSWはまさに女性と出会う場になっていると言えます。
まず部署内では他のMSWはほぼすべて女性です。
さらに、日ごろ関わる機会が多い看護師も圧倒的に女性が多いです。
その他、病院内であれば事務員やリハビリスタッフなど、様々な職種で女性と関わる機会が多いのが特徴です。
ただし、その年齢は様々で、若いスタッフもいれば、結婚して子どももいる人、定年間近のベテランさんなどピンからキリまでいます。
逆に「出会いが多そう」と言われることもあるのですが、上記のような状況で、さらに普段関わる機会が多いスタッフがママさんだったりベテランだったりすると「多くない!」とつい反論したくなります(笑)
何かと頼られやすい
女性が多い環境の中に男性がいることで、本当に困った時に力を貸してほしいと言われることが多いのは男性です。
部署のトップになっている方が多いのもその理由の1つなのですが、やはり困った時は男性に助けを求められることが多いと実感しています。
患者・家族の対応でもそうですが、それ以外の雑務でも、力仕事などで頼られることもあります。
私は残念ながらあまり力が強い方ではないので、毎回力仕事が大変なのですが・・・(笑)
あとこれは女性ならではということですが、部署内に紛れ込んだ昆虫退治を頼まれます・・・。
私、昆虫も苦手なので毎回困ってます・・・(-_-;)
男性MSWであることで覚えてもらいやすい
男性MSWは数が多くないことを上記しましたが、そのためにいろんな人に顔を覚えてもらいやすいことは利点だと感じています。
1回あったきりの人だと顔が思い出せなかったり、名前がうろ覚えだったりすることがありと、自分の名前を覚えてくれないことはよくあることです。
さらに、MSWとして対応する相手は様々で、特に高齢の人は一度ではなかなか自分のことを覚えてくれません。
ですが、私の場合、男性というだけでインパクトがあるのか、すぐに顔や名前を覚えてくれます。
私の場合、他に男性MSWがいないことも重なってですが、「名前は忘れたけど男性の人」と言われればまず私だとわかるので、さらに深い関係性を構築できるのは大きいと思っています。
たまに、「女性の人が担当だと思った」と言われる時はちょっと複雑ですが・・・(^^;)
マグナスが体験したエピソードを紹介!
では、ここからは私が体験したエピソードをお伝えします。
いずれも男性ならではの話ですので、ご覧ください(笑)
危険な人と密室移動!?
私がまだ就職したばかりの頃の話です。
救急で来られた精神疾患のある患者さんを精神科病院へ紹介するという案件を先輩MSWが対応していました。
いざ、救急車で出発することが決定した時、突然上司に言われたのが、
「この人身寄りが無いから誰かついていかないといけないよ。でも、精神疾患で突然暴れるかもしれないから、女性は付き添いできないね。」
とのお言葉。例えその気が無くとも(実際には無かったのですが)、
「男マグナス、行きます!!」
と言わないといけない状況でした。
実際はとても症状が落ち着いていて、何事もなく搬送できたのですが、果たして私の身に何かあっても良かったのでしょうか・・・?(笑)
ストーカーを撃退!?
MSWとして関わる人は様々ですが、女性にとっては男性患者からのしつこいアプローチが問題になることがあります。
私が就職してから先輩MSWがそういう目に遭いそうになったのを何度か見ています。
いずれも精神疾患がある方で、上手な関わり方をすればまた結末は違ったと思います。
そういう時は男性である私に担当を変更することがほとんどです。
その方は私に担当が変わった途端にしつこかった連絡がパッタリと無くなり、以降関わりが無くなってしまいました。
すでに他機関からの支援を受けていらっしゃる方なので問題は無かったのですが、本当にあっさりとケースが終了してしまったところを見ると、支援を求めているのではないということがはっきり分かった瞬間でした。
終わりに
MSWに男性が少ない理由や、男性であることの利点を今回お伝えしました。
詳しく内容をまとめると以下のようになります。
- MSWは男性の比率が少ない職業です。
- その理由は福祉系学校での男女比や給料、転職などが挙げられます。
- 男性であるが故の利点も存在します。
- 中には男性であることでちょっと困ったことも・・・。
ここまでいろいろお伝えしてきましたが、MSWという仕事はとても素晴らしい仕事であることは男性であっても女性であっても変わらないということです。
患者・家族に一番近い医療職であることを常に意識しながら、今日も頑張りたいと思います。
もし何かあれば気軽にMSWへ相談してみて下さい!