MSW(医療ソーシャルワーカー)はママになってもできる仕事なのでしょうか?
日々、医療機関で患者・家族のために働くMSW。
患者だけでなく多くの職種や関係機関からも頼られる存在ですが、反面、求められるものも高く忙しさもある職業です。
そんなMSWの仕事を、家事や育児が必要なママさんが担うことは難しいことなのでしょうか?
今回はMSWがママになってもできる仕事なのかについて、パートなどの勤務形態や給料、家庭との両立といった点に着目して解説していきます。
目次
時短やパートのMSWはいるの?
世の中には様々な勤務形態の職種がありますが、女性にとっては結婚や妊娠、育児といった人生における大きなイベントによって仕事を考えることが多いです。
特に、妊娠や育児といった、生活スタイルが変わるようなイベントは、それまでの仕事や勤務形態を見直す機会となることでしょう。
場合によってはこれまで勤めていた職場を退職し、新たな職場へ転職したり、出産し育児が落ち着いた段階で再就職を目指したりといった方が多いのも事実です。
しかし、このような生活スタイルはここ数十年間の不況で実現が難しくなってきているのもまた現状です。
時代は今や、妊娠やその後の育児を行いながらも継続して働くことができるような就労体系が求められてきており、国もそれを推奨しています。
そんな中で、MSWという仕事は育児のための時短勤務やパートでの採用をしてくれる職種なのでしょうか?
まずは私の職場を例にとってご紹介いたします。
マグナスの職場の時短・パートMSW
実際に私の職場では子育て中のMSWが約半数いて、そのうち2名が時短での勤務、1名がパートでの勤務となっています。
時短の方は出勤時間を遅らせたり、退勤時間を早めたりという工夫を行い、その中で業務を行っています。
パートの方は平日のみの出勤で、こちらも正規職員より短めの勤務時間で業務を行っています。
時短出勤の場合は子どもがまだ小さい時期に限られますが、直属の上司と相談したうえで時短勤務の予定を組み、病院側の了承を得て働いています。
やや遠方から出勤している人であっても、時短で早めに帰宅できることから、子どもを預けている保育園へ保育時間内に迎えに行くことができているそうです。
ということで、MSWは時短やパート勤務も可能な職種と言えます。
ただし、これはあくまで私の職場のケースですので、時短での出勤はともかくとして、パート勤務については採用をしてくれる医療機関があるかどうかはまた別の話です。
部署内の理解が得られやすい
MSWの男女比は女性の方が多く、私が勤める病院においても男性は私1人のみという状況です。
そのため、女性の妊娠~出産~育児に対する理解は良好で、互いに妊娠中の生活に始まり、育児の状況などをざっくばらんに話し合っています。
急に休みをとらなければならない時も、互いの理解ができていることから不平・不満が上がることはほとんど無い状況です。これはMSWという女性が多い仕事の特性とも言えるものですね。
休日の交代も当事者間で話し合い、子どもの行事になるべく参加できるように工夫しているところを私もよく見かけます。
MSWは患者・家族の心情を汲み取る仕事ですが、こういった場面でもお互いを慮る姿勢が見て取れますね。
MSWがママであることのここが大変!
では、実際にMSWが育児が必要なママとなった時、仕事においてどのようなことが大変となるのでしょうか?
私の職場をモデルとして、実際に大変そうな場面をもとにご紹介いたします。
突然休まなければならない時の仕事が大変
育児において大変なのは、子どものために突然休みをとらなければならない時があるということです。
これはMSWに限らず、どの職種においても言える共通の項目となっています。
あらかじめわかっている子どもの行事については休みの予想が立てられるのですが、突然休まなければならないものについてはなかなか予想がつきにくいのが現状です。
その最も多い理由が
【子どもの病気】
です。
特に、職場復帰した直後で子どもを保育園に預けている場合、慣れない環境下でのストレスや他の子どもからの感染で病気になりやすく、頻繁に保育園からお迎えを求める連絡が入ってくるのを目撃しています。
まだ病気に対する抵抗力が弱い子どもだからこそ起こる、ある意味仕方がない理由なのですが、この対応への負担は大きいと言えます。
限られた時間の中での対応が必要
時短やパート勤務の場合、通常の勤務形態より短い就労時間となっていますので、限られた時間の中でいかに患者・家族への対応を行っていくのかがカギとなっています。
患者・家族だけでなく、相談している関係機関との連絡も勤務時間内に行う必要がありますので、正規の時間で働いているMSWに比べて時間の管理が厳しくなっているのです。
MSWは突然相談の依頼を受けることも良くある仕事なので、ある程度のスケジューリングは必要なのですが、突発的な出来事への柔軟な対応も求められるため、臨機応変な対応ができるかどうかがポイントになってきます。
この時間の管理や柔軟な対応が大変なポイントであるとも言えます。
給料が少なくなる!?
これもどの仕事でもそうなのですが、勤務時間が短くなるとどうしても給料も少なくなってしまうのが大変なポイントとなっています。
特に育休明けの方は上記のように突然休まないといけなくなることが多く、休んだ分の給料が差し引かれることも多いです。
もともと時短で働いている中でさらに休みをとらないといけなくなった時の給料は、通常の給料に比べると低くなっているため、いかにして休みをとらなくても良いように他の家族と協力していくかを考えていくことも必要でしょう。
今後、国が子育てと仕事の両立のためにより良い環境を作るよう推進している取り組みが実れば、このあたりの問題が少し解決していくのではないかと期待しているのですが、現状では個々での対策が求められているのが現状です。
MSWがママであるメリット
ここまでMSWがママであることの大変さをお伝えしてきましたが、逆にメリットも存在するということもお伝えしたいと思います。
MSWがママであることのメリットとは、一体どのようなものなのでしょうか?
ママである立場の患者・家族の心情がわかりやすい
同じ育児をしている者同士、ママである立場の心情が、育児経験が無い人より圧倒的にわかりやすいことは強みと言えます。
患者本人がママの場合はもちろんのこと、患者から見て妻や娘、孫娘、母といった立場の方は相談者としても数が多く、子どもがいる女性であればこの条件に当てはまることが多いです。
直接的な育児だけでなく、育児があるために他の家族の面倒が見切れないといった相談も多く、そういった状況への理解がより深まるだけでなく、MSWの実体験としてどう対応していったらいいかを伝えることもできます。
育児経験のあるMSWの発言はママである立場の患者・家族にとっては心強いものとなるため、このメリットはかなり大きいものと言えます。
子どもへの接し方が変わってくる
上記の項目に重複するような内容ですが、親だけでなく子ども自身への接し方が変わってきます。
赤ちゃんの抱っこの仕方や小さい子どもへの接し方1つにしても、育児経験がない人に比べて明らかに変わってきます。
また、子どもの状態変化についても、実体験をもとにどうなっていくのかがわかりますし、逆にケースを通じて自らの子どもへの接し方が変わってくることもあります。
私の職場でも出産後に小児患者のケースで関わり方が変わってきたと思えるようなMSWがいたので、この点もいわば強みになると言えます。
性格が丸くなる!?
育児を行うと必然的に子どもへの接し方が身に付き、性格が丸くなるように感じています。
これは私自身が感じていることだけなので、実際は異なるかもしれませんが、明らかに出産前と育休明けの方を比べた時に、圧倒的に育休明けの人の方が性格が丸くなったような印象を受けます。
実際に、出産前まではまともにしゃべることができないほど怖いと感じていた上司が、育休明けから目を合わせて話ができるくらい人が変わったかのように丸くなっていました。
私のケースはさすがに標準化するには程遠いものだと思いますが、それでも育児の大変さを知り、周囲が助けてくれる環境にいることを実感できている人は、他者への接し方が大きく変わっていると言えます。
終わりに
今回はMSWがママであってもできる仕事なのかどうかについて解説しました。
今回お伝えした内容をまとめると以下のようになります。
- 時短やパートのMSWは実在します。
- 限られた時間のなかで患者・家族への対応が必要となるため、時間管理が大変になります。
- ただ、ママの立場である患者・家族や子どもへの接し方はこれまでと大きく変わってきます。
今回お伝えしたデメリットはママであればどの仕事でも共通するものです。
MSWだからこその問題ではなく、自身や周囲の工夫次第で解決できる問題ではないでしょうか?。
逆に、MSWがママであるメリットは自らの経験という、他では得られない大きなものだと言えます。
MSWはママである強みを生かしながら仕事ができる職種ですので、もし仕事の継続や就職を迷われている方はこの記事を参考にしてみてはいかがでしょうか?